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阿佐ヶ谷 「志ノ蔵」
阿佐ヶ谷の「志ノ蔵」へ行ってきました。名古屋コーチンの鍋が食べられるお店です。

この季節、メニューは鍋のコースのみ。予約の時点で「ひきずり鍋」か「どて鍋」のどちらかを選ぶシステムです。
選んだのは「ひきずり鍋」。簡単にいえば鶏肉のすきやきで、たまり醤油を使った割り下と鶏のダシで野菜と肉を煮て、卵にくぐらせて食べます。

まずは生ビールで乾杯。生は静岡と岐阜の地ビールが時期によって入れ替わるそうです。この日は岐阜・中津川の博石館ビールでした。程よい甘さが印象的な、すっきりとした飲み心地です。

グビグビと喉をうるおしていると、店主の木村さんが前菜を運んできてくれました。
赤軸ほうれん草とコーチンを酒粕で和えたもの。そして手羽先と蕪を米酢で炊いた煮物です。
(実はもう一品、スープもあったのですが、そちらは写真を失敗しました…。(涙))

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どれも優しく、体にじんわりと染みこむようなウマさ。ゴテゴテとした過剰さはなく、食材の良さが素直に実感できます。

それもそのはず、実は志ノ蔵のテーマは「国産」。
肉や野菜などはもちろん調味料や料理酒、そして器にいたるまで日本中から選び抜かれたこだわりのモノばかり。ほっとするような日本の味に、メインの鍋への期待が高まります。

ビールを飲み終えたら、お次はワイン。そう。こちらも当然、国産です。

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今のところ銘柄は2種類。金井醸造場と小布施ワイナリーというセレクトからも、木村さんのこだわりが伝わってきます。

まずお願いしたのは「キャネー甲州・万力山2006」。先日、下高井戸の「おふろ」で飲んだワインです。やはり若干、閉じ気味な印象ですが、温度が上がるにつれて硬い酸が和らぎ、旨みが前面に出てきました。独特のスケール感が感じられるワインです。野菜の甘さと甲州の渋苦さがイイ感じでマッチしました。

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「ワインをご注文なら、和え物は酒粕じゃなくてオリーブオイルを使った方が良かったですね。」と木村さん。いえいえ、バッチリ合ってます。そっちも食べたいけど。
ちなみにオリーブオイルももちろん国産。産地は小豆島だそうです。もともと生産量は多くはないのですが、今年はオリーブ植栽100周年という節目も重なり、さらに人気が上がって入手難になってしまったとのこと。味はやはり外国産に比べて、柔らかく感じられるようです。

さて、いよいよ鍋の登場。

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胸肉やモモ肉、内臓がきれいにお皿に並んでいます。豆腐、ねぎ、椎茸、こんにゃくも美味しそう。

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作り方を聞いて、しばらくグツグツと。「この辺かな」というところで箸を伸ばしました。

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ウマイ!今まで名古屋コーチンには「野性的な味」というイメージを持っていました。でも猛々しさはあまりなく、噛むたびに肉の旨みだけが口に広がります。これは割り下の絶妙な塩加減のお陰でしょう。内臓系ももちろん嫌な匂いなどは一切ナシ。それぞれの個性だけが感じられます。いやー、実に洗練された肉料理です。

ここですかさず赤ワインも注文! 小布施の「Le vin Naturel Merlot」。
先日、アッシュエムのワイン会で飲んだ「ビオ一年目」です。

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実はワイン会の時、とてもエレガントなワインだとは感じたのですが、反面、力強さには欠ける印象がありました。だから今回のような鍋にはどうかな、と不安もあったのですが、開けてみてびっくり。線の細さなどまったく感じられない、骨格のしっかりしたワインです。全然、違うじゃん!

メルローの個性がはっきりと出つつ、するすると滑らかに喉を通っていきます。エレガントさは同じですが、中盤からフィニッシュにかけての旨みの強さと余韻の長さはまるっきり別モノ。パワフルなコーチンの味わいに全然負けていません。うーん、どういうこと?

しかしともかく、ホントに豪華なマリアージュでした。野菜も美味しかったのですが、特に印象に残ったのはこんにゃく。普段、口にするモノとは明らかに違います。こんにゃく独特のエグ味のようなものがゼロ。一緒に行った友人も絶賛でした。

最後には残ったつゆと溶き卵で親子丼的な雑炊。旨すぎる~。大人になって良かった!

お店は木村さんお一人で切り盛りされています。ご苦労も多いと思いますが、お一人だからこそここまでのこだわりが通せるのかもしれません。

幸せな夕食でした。再訪を心に誓いお店を後に。次回はどて鍋だ!
by inwine | 2008-03-22 13:21 | 日本ワインを飲める店
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