人気ブログランキング | 話題のタグを見る
兵庫 『神戸ワイン』

関西のワイナリーを回ってきました。今回はワイン仲間の方と二人旅です。
同行してくれるのは畑に詳しい人なので、いろいろ勉強になることも多いはず。
いつも以上に充実した旅になりそうです。

2泊3日で大阪と京都を回る予定… だったのですが
「どうせなら」ということで、ワタシだけ一足早く前乗りすることにしました。
目指すは明石焼きとそばめし。そして神戸ワインです。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_1462841.jpg


神戸ワインは市が出資して、第三セクターの「神戸みのりの公社」が経営するワイナリー。
地下鉄の一番端の駅から、バスで10分ほど行った農業公園の中に位置しています。

建物は入り口から、かなり気合の入った造り。
大きな建立の碑や動物のキャラクターの立派な銅像があるなど、
建設当時にかなり資金的余裕があったことが、はっきりとうかがえます。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_148546.jpg


まずは畑を見せてもらうことにしました。
建物に隣接する形の自社農園は、すばらしい景観。
整然とレイアウトされた垣根畑の間には
きちんと整備された広い道が通り、とても開放感があります。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_1415664.jpg

日当たりもよく、早朝、この道を散歩したら素晴らしく気持ちがいいはずです。
思わず、意味もなくグルグルと同じ場所を回ってしまいました。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_1415222.jpg

葡萄の樹もこんなに立派な姿。
ワイナリー設立当時に植えられたものだとすれば、樹齢は20年以上になります。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_1415487.jpg

樹に付けられたプレートには、いろいろな団体の名前が。
実習のような形で、外部の人に作業を体験してもらっているそうです。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_1416589.jpg

植えられているのはカベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、リースリング、メルロ。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_14165194.jpg

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_1417560.jpg

こちらは試験圃場。ピノ・ノワール、グルナッシュなどを栽培しています。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_14174995.jpg

これは畑からやや高台に立つ建物を見上げた光景。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_14181537.jpg

今はすっかり冬本番。もちろんどこにも房が実っているわけではありません。
それでも畑からは、静かな生命力が伝わってくるような気がしました。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_14183833.jpg



このワイナリーが設立された重要な目的は、地域の農業振興でした。
収穫した葡萄の全量買い取りを農家に約束するという
大胆な経営方針を掲げてスタート。

また施設内には動物と触れ合える牧場やバードゲージ、
食用牛の見学施設などの遊興設備のほか
ホテルやレストランも併設して、観光収益を上げるという目論見でした。

施設の中には今でも開業の理念を記したプレートや
敷地全体をかたどった模型など、当時の意気込みを物語る展示物が飾られています。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_1419464.jpg

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_14191520.jpg


実際、開業当初はかなりの人出があり、観光スポットとして大盛況だったそう。
オープン当初はこの広場が人でいっぱいになり、前が見えないほどだったという話も聞きました。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_14193556.jpg


しかし質にかかわらず、すべての葡萄を買い取るという方針は
結局のところ、やはり無謀だったようです。
昨年秋の新聞記事によれば、神戸ワインが抱える在庫は300万本。
経営状態は深刻です。
今回の訪問時には、牧場などほぼすべての観光施設は閉館。
ホテルやレストランも閉鎖されていました。
美しく充実した畑とは対照的とも思える様子です。

兵庫 『神戸ワイン』_c0140044_14205434.jpg

現在、ワイナリーは本格的に再生に乗り出し始めています。
昨年は神戸市が20億円を新たに支援。
さらに、とても明るいニュースもあります。

それはフランスで醸造の国家資格を取得した渡辺佳津子さんが、
昨年からスタッフに加わったこと。
もともと神戸ワインのスタッフだったそうですが、働くうちに渡仏を決意。
大学で本格的にワイン造りを学んだのち、再び神戸に戻ってきたそうです。

古巣の現場に新しい風を吹き込んだことは、想像に難くありません
ワタシ自身は飲んでいないのですが、
今年の新酒はとても美味しかったという話も聞きます。

今回は急遽、訪問を決めたということもあり
お会いすることはできませんでしたが、
いつか機会があれば、じっくりお話をうかがいたいと思います。

歴史があり、丁寧に手入れされた葡萄畑と若く才気ある醸造家。
このワイナリーには、簡単には手に入れられない
きわめて贅沢な財産をふたつも備えています。

もちろん困難な障壁は山ほどあるはずですが、
これから新しい未来が待っていることも間違いありません。
今後、目を離すことはできないと感じた訪問でした。
by inwine | 2009-12-22 14:38 | ワイナリー訪問
<< 大阪 『比賣比古(ひめひこ)ワ... 長野 『安曇野ワイナリー』 >>