九州の旅、次に訪れたのは由布院ワイナリー。 由布院は観光地として有名ですが、ワイナリーがあるのは隣の南由布。 こちらはかなりのんびりとした土地で、駅も無人駅です。 まずは今日の宿「ゆふいん時遊館」へ。 この宿の隣にはソーヴィニヨン・ブランの畑があります。 実はここの葡萄から宿専用のワインが作られているんです。 醸造はもちろん由布院ワイナリー。 栽培はワイナリーをアドバイザーとして、所有者のホテル側が管理しているそうです。 このワインの一般販売はないそうなので、今夜の食事が楽しみ。 ワイナリーへ向かう前に畑を見せてもらいました。 写真のように周囲は水田。このあたりは本当に水田が多く見られます。 後から聞いた話ですが、この畑も元々は田んぼだったとのこと。 はたして今年はどんな年になるのか。 さて荷物を預かってもらい、ワイナリーへ! きれいな外観です。案内していただいたのはスタッフの田羽多さん。 最初にシャルドネバレル615・2007と 中川サンジョヴェーゼ・ロゼ「SAKURA」を試飲させてもらいました。 「615」とは葡萄園のある土地の標高。つまり615メートルです。 一般的に葡萄栽培の限界標高は800~1000メートルと 言われているそうなので、なかなかの高地といえます。 (ちなみに赤で力を入れている山ソーヴィニヨンのワイン名は「645」) 樽熟成期間は一年未満。新樽はほとんど使わないそうです。 やわらかい樽香がエレガントな柑橘系の香りとぴったり。 ボディもしっかりと感じられ、 さらにフィニッシュには果皮のニュアンスと豊かなミネラル感が。 とても綺麗で魅力的なワインです。 サンジョヴェーゼのロゼはフレッシュな果実味があふれる チャーミングなワイン。 赤ワインの醸造フローを経て作られていて、色もロゼとしてはやや濃い目。 骨格もきちんとあるため、食事と一緒にしっかり楽しめるワインに仕上がっています。 現在、ワイナリーで正規に販売しているのはこの2アイテムのみ。 「無理にたくさんは作りません。だから売り切れたらそのまんま。」と笑う田羽多さん。 うーん、潔いです。 次に中の設備を案内してもらいました。現在はほとんど作業はお休みとのこと。 醸造担当の東さんもお休みされていて、お話は聞けませんでした。ちょっと残念! 醸造作業は東さんがほとんど一人で行っているとのこと。 ピジャージュなどの手作業もひとりきりだそうです。 そのためか各設備は、コンパクトでいかにも効率良さそうな配置でした。 手作り感がリアルに伝わってくる感じです。 この樽の中に眠っているのはシャルドネ。香りだけテイスティングさせてもらいました。 さきほどの2007年同様の柑橘系の爽やかな香りに加え、 こちらはエステル系というか、より甘い果物のような濃厚な芳香が。 いいですね~。 まもなくボトリングして、年内にはリリースする計画だそう。 その日が待ち遠しくなりました。 「日本では風土に合った日本らしいワインを作らないとダメ」と田羽多さん。 「いきなりワインの東大に入ろうと思っても無理ですよ」と 独特の言い回しで持論を語ってくれました。 ちなみに田羽多さんが最近、感銘を受けたのは韓国のマスカットベリーA(!)。 現地で味見したそうですが、甘さも凝縮感もかなりのものだそうです。 畑はすべてギュイヨ・サンプルの垣根。糖度はなんと24度まで上がるとのこと。 内陸で栽培されているらしいのですが、なんだか凄い話です。 農家が醸造したワインも飲ませてもらったところ、かなり美味しくて驚いたという話でした。 もしかしたら将来は韓国から葡萄が…? ウソみたいな話ですが、意外と有り得ないことじゃないのかも。 長々とお話を聞かせていただいた田羽多さん、ありがとうございました! 試飲コーナーの棚には訪れた有名人のサイン入りボトルが。 芸能人の名に混じって、ブルゴーニュのシモン・ビーズや 初代世界最優秀ソムリエのジャン=リュック・プトーの名前もありました。 最後はサンジョヴェーゼの畑へ。こちらも周囲は水田です。 隣の小屋には鴨がたくさん。合鴨農法でしょうか。 さて宿へ戻って、お待ちかねの夕食です。 いやー、正直ヤバイです。 オーナーのお母さんが手がけられているという野菜がメチャうま。 煮物、焼きもの、てんぷら。いちいち美味しくて、ほっとため息が出るほど。 味付けも絶妙で嬉しくなります。 実を言うと、昨日の宿の料理があんまりイマイチモゴモゴモゴ…だったので よりいっそうの感激でした。 さて、お待ちかねのソーヴィニヨン・ブランは? いやー。これも負けず劣らずイイ! トップノーズは品種独特の青いハーブ香が強く迫ってきます。 そしてグレープフルーツよりも強めの柑橘系の香り。 やや酸化のニュアンスが感じられますが、 それがボディにいっそうのふくらみを与えている気がします。 味わいは爽やか。でも途中で尻すぼみになることなく、 中盤のボリュームがあり、ミネラルもしっかり感じます。 野菜の天ぷらとの相性はお世辞抜きで感涙ものでした。 お話を聞くとこのワイン、実はアルコール度数が14%近くあるとのこと。 収穫時の糖度はなんと22度まで上がるものもあるそうです。 すごくボディのあるワインだなと思ったのですが、それも納得。 実際、豊後牛のイチボ肉の鉄板焼き (これがまた脂っこくなく、旨みたっぷりで激旨)にもバッチリ合いました。 こんなSBもあるんですねー。ホントいい経験をさせていただきました。 ちなみにこのホテル、交代制の貸切露天温泉も実に快適。 部屋の広さや清潔さも含めてかなりオススメです。 由布院ワイナリーにお出かけの際は、ぜひ! (写真は部屋から見える葡萄畑) いやー九州ワイナリーめぐり、なかなか刺激的な経験が続きます。
by inwine
| 2009-06-03 06:20
| ワイナリー訪問
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