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「塩尻ワイナリーフェスタ2008」 <2>
「塩尻ワイナリーフェスタ2008」に伴って行われた、造り手を囲むパーティーに出席しました。
ここでは各ワイナリーの造り手の方も大勢参加。皆さんから貴重なお話をうかがうことができました。
中でも興味深かったのは、メルシャンのヴィンヤード・マネージャー・塩原博之さんのお話。
以前、斎藤浩工場長に写真を見せていただいたマリコ・ヴィンヤードの栽培責任者です。

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丸子(まりこ)の畑は総面積12.5ヘクタール。よくある言い方でいうと、東京ドーム3個分弱です。実に広大な畑ですが、管理・統括ははなんと3人のスタッフでまかなっているとのこと。ご苦労は容易に想像できます。
栽培された葡萄は現在、ブレンド用として製品化されていますが、「マリコ」の名がつくブランドのリリースももうまもなく。
すでにワインは瓶熟成中で、会社のゴーサインを待っているところだそうです。価格帯は長野メルローぐらいになるのでは、ということでした。ボトルを手にするのが今から楽しみです。

井筒ワインの野田森さんには同じ土地の斜面上部と下部の葡萄を別々に仕込んだワインを飲み比べさせていただきました。

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2つのキャラクターはまったくの別ものでした。エレガントな上部とがっしりしたボディの下部。個性は違うけれど、どちらもそれぞれに美味しい。ちょうど兄弟のようなこのワインは、最終的にブレンドしてリリースされるそうです。

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今回、もっとも長くお話を聞けたのはKidoワイナリーの城戸さんでした。
内容はワイン作りの哲学や求めるワインのかたちに始まり、小規模ワイナリーならではのご苦労、今後の計画や展望などから、盟友・ボー・ペイサージュ岡本さんのお話や、いわゆる自然主義のワイン作りに関する考え方、そのほかそのほか…。

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「安くて非常にいいワインは日本では難しいけれど、高価格帯になればフランスと同じレベルを実現できる。
僕は世界のスタンダードというものは、やはり意識する。」という言葉には「ワインは造り手なんだ」という強いプライドが伝わってきます。
そしてやはり「宿命的風土論」への疑問を投げかけた日本ワインの父・麻井宇介氏の著作を自然と思い出さずにはいられませんでした。

ビオの手法について意見をうかがうと「特に肯定も否定もしない。大事なのはその方法が葡萄やワインのためにいいかどうかということだけ。良い部分は取り入れるし、考え方が合わないものもある。」と明確に語ってくれました。「ただし土壌や環境のことを考えてビオの手法を取り入れるとすれば、それは本当にいいこと。」とも。また「ビオの考え方は今は神秘的に見えるけど、昔はそれが一番合理的だったんだと思う。」という言葉には、なるほどと思わず手を打ちました。

また発酵についてはヨーロッパ系品種はすべて野生酵母によるもの。これも野生酵母そのものにこだわるというより、それを上回るほどの培養酵母が見当たらないからだそうです。つまり良いものがあれば、否定する理由はないという考え方。
こうした自然体で柔軟な発想は、素人でも素直に共感できます。なんというか非常に現実的で明快。

また野生酵母を選ぶもうひとつの理由は、培養酵母だと「発酵が早く始まりすぎてしまうから」だそうです。城戸さんによれば発酵が始まる前、いろいろな微生物が果汁中で活動している時期は、醸造過程において非常に重要とのこと。野生酵母による発酵については「発酵が始まってくれるのをじっと祈りながら待つ」みたいなイメージを勝手に妄想していたので、なんだか意外な感じがしました。

SO2の量はメルロに関しては特に少なめ。これも単純に量を減らすことだけが目的ではなく、メルロの場合、亜硫酸の影響で堅いワインになってしまうことが最大の理由だそうです。ちなみに全体量の大部分は破砕直後に入れるとのこと。これもやはり発酵を遅らせることが目的ということでした。

「ぶどうの出来不出来があるから、毎年毎年ワインが良くなっていくことはありません。それに栽培から醸造の全工程ですべて 満足するようなことは今後もないでしょう。それでもその年その年に経験したさまざまなことは、必ず蓄積されてワイン造りに活かせる。」
そう語る城戸さんのワインからは、今後も目を離すことはできません。今後の動きとしては、栽培中のカベルネ・フランがトップブランドの「プロジェクトK」にブレンドされる可能性もあるとのこと。(ただし、あくまでも葡萄の出来次第だそうです。)
そして楽しみなのがピノ・ノワール。今年収穫したぶどうがいよいよ来年、初リリースされる予定だと教えていただきました。

寒冷な塩尻は、山梨などよりも収穫時期は遅め。その中でも城戸ワイナリーは、さらに例外的なくらい収穫が遅いそうです。つまり畑の作業も仕込みもまだまだこれからということになります。この時期のイベント開催は、かなり負担が大きいはず。それでもお疲れの中、いろいろなお話を聞かせていただき、感激しました。本当にありがとうございます!

パーティーの後はホテルで一泊。翌日はワイナリーめぐりに向かいました。
というわけで、もう一回続きます。長くてすみませんが、ヨロシク。
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by inwine | 2008-10-31 23:18 | ワイナリー訪問