タグ:新潟のワイン ( 2 ) タグの人気記事
新潟 『岩の原葡萄園』

新潟のワイナリー、最後は岩の原葡萄園へ。
マスカット・ベリーAの交配などで知られる川上善兵衛が創業。
さまざまな歴史を経て、今に至るワイナリーです。

c0140044_15491957.jpg


今年の国産ワインコンクールでは、『マスカット・ベーリーA 2007』が
「国内改良等品種」部門で史上初の金賞を獲得。
さらに別銘柄も銀賞・銅賞を同時受賞したことが話題になりました。

c0140044_15494183.jpg


JR高田駅から路線バスに乗り、約30分。
道中には『岩の原葡萄園 一号石蔵・文化財』などの案内板も見えます。

案内をしていただいたのは、営業部の鋤柄さん。
石蔵の前で、川上善兵衛の功績やワイナリーの歴史について
簡単な説明をしてもらいました。

c0140044_15495865.jpg


「今、川上善兵衛はワイン用葡萄の交配をした人物として知られていますが
 本来はやせた土地で苦労する地元農民のために
 私財をはたいて、産業を開発した偉人なんです。」

勝海舟との交流でも知られる川上善兵衛ですが
考えてみれば、詳しいバックボーンについてはほとんど知りませんでした。
不明を恥じていると、こんな話を教えてくれました。

「今でも地元の小学校では、善兵衛の研究が学校全体で行われているんです。
 みんな詳しくて、私もかないません。」

c0140044_15502554.jpg


後でこの小学校の研究発表を見せてもらいました。
内容は子供たちが実際に善兵衛に会った人たちを訪ね、
直接インタビューをするというもの。
小学生たちはみずからの素朴な疑問を
おそらく祖父、祖母よりも年上の人々に率直にぶつけています。

歴史的証言ともいえる貴重な口伝を、誰よりも若い世代が受け継ぐ。
研究発表の冊子には、生き生きとした好奇心と
善兵衛の人柄を語る年配の方々の深い想いが
長い長い時間を超えて重なりあっていました。

その光景からは郷土の英雄の偉業を、決して風化させてはならないという
地元の人々の強い意思が伝わってくるようにも思えます。

実は鋤柄さん自身も、善兵衛に人生を決定付けられた一人。
ご出身は長野だそうですが、善兵衛の生き方に影響を受け
地元のワイナリーではなく、岩の原葡萄園を選んだそうです。

c0140044_15504433.jpg


案内してくれた石蔵の中は濃密な雰囲気の空間。
ごつごつとした石の壁から、
当時の作業風景が浮かび上がってくるかのようです。

c0140044_1551215.jpg

c0140044_15513499.jpg


この蔵は「二号石蔵」。現在は貯蔵庫として使用されています。
しかし建設当時は、文化財である一号石蔵とともに醸造を行う場所でした。

c0140044_15515067.jpg


ワインの発酵には温度管理が大きなポイント。
発酵によって果汁がアルコールに変わる際、液体の温度は上昇します。
これを放置しておくと、良いワインはなかなかできません。

善兵衛はそのために、山の水を利用することを思いつきました。
トンネルを掘って、冷たい雪解け水を蔵まで引き込み
建物の冷却に用いるわけです。

c0140044_15521515.jpg

これがその「冷気隧道」の跡。
10年ほど前、偶然に見つかったそうです。

残念ながら、このアイデアはあまり成功しませんでした。
これだけの工事をしながら、成果を得られなかったのですから
無念はさぞかし大きかったはずです。

しかし、このトンネル跡は川上善兵衛という人物が
いかに進取の気性と、パワフルな実行力を持っていたかを見事に伝えています。
ゼロからすべてを切り開くという仕事には、こうした素養は不可欠だったのでしょう。

葡萄の交配技術も、基本的に独学でマスターとしたという
善兵衛ならではの力強い歴史の刻印です。

ワイナリー裏手の高台に広がる畑も見せてもらいました。

これはやや変形の一文字短梢。独特のカーブを持った太い樹で、
なんともいえない迫力があります。

c0140044_1552468.jpg

こちらは金賞ワインにも使われた有機栽培転換中の葡萄畑。

c0140044_1553795.jpg

c0140044_15533173.jpg

積雪対策のため、手が届かないほどの高さです。

c0140044_15535330.jpg

実際、作業はすべて脚立に登って行うとのこと。
こちらの畑もやはり迫力満点でした。雪との戦いの苛酷さがうかがい知れます。

畑を見て回っていると、「熱心に見てますね」と声が。
作業中のスタッフの方でした。
樹齢や仕立て、肥料などについて詳しくうかがうことができました。

c0140044_15541543.jpg

岩の原ももう剪定は終わりですが、何かと冬支度に忙しそうなこの時期。
お時間を割いていただいて恐縮だったのですが、
あとで何気なく資料を読んでいてビックリ。なんと製造技師長の建入一夫さんでした。
思えばラッキーでしたが、醸造のことなどもっと詳しく聞けばよかった!

帰りは高田駅まで再びバス。ワイナリー前で手を上げると止まってくれました。
鋤柄さん、お世話になりました!

新潟のワイナリーめぐりはこれでおしまい。
またもやいろいろな発見がいっぱいの旅でした。
新潟には新鮮な海産物をはじめ、美味しいものが目白押しです。
ワインは食とは切り離せないお酒。
豊かな食文化の中で、これからももっともっと発展していくに違いありません。
[PR]
by inwine | 2009-12-11 16:05 | ワイナリー訪問
新潟 『アグリコア越後ワイナリー』

新潟県の旅、次はアグリコア越後ワイナリーへ。
上越線浦佐駅から車で数分。日本酒の銘柄で有名な八海山にほど近い場所です。

c0140044_12453530.jpg

建物は八色の森公園という公園内に建っており、可愛らしい外観。
もう少し暖かい季節であれば、花や緑、葡萄の房が実った垣根畑などの
美しい風景が出迎えてくれるはずです。

しかし、すでに12月。
厳寒期には、建物が埋まってしまうほど雪が降るこの地では
時間に追われるかのように、冬支度が進んでいました。

c0140044_1246644.jpg

これはワイナリー前にある畑。
もうすべて剪定が終わっています。

c0140044_12462596.jpg

樹の形は斜め方向に伸びており、ワイヤーもすべて外されています。
温暖な地域ではまず見ることのできない姿。
そう、これはすべて豪雪に耐えるための工夫なのです。

c0140044_1248391.jpg

ワイナリーのスタッフの方に聞くと、雪の時期は12月初頭から。
つまり、もういつ降り始めてもおかしくないことになります。
この日はあいにくの雨でしたが、雪に見舞われなくてラッキーでした。

c0140044_12483840.jpg

米どころの魚沼らしく、土壌は完全な粘土質。
気候だけでなく、土壌もカーブドッチやフェルミエの畑とは
まったく違うのが分かります。
たとえ同じ県でも、ワインに個性の違いが出るのは当然といえます。

一度降り始めれば、葡萄の樹たちは雪の下へ。
翌春まで見ることもできません。

第三セクターであるこのワイナリーの名物は「雪室」。
冬の間に降った雪を貯蔵して、熟成庫の温度管理に利用しています。

c0140044_12491785.jpg

洞爺湖サミットのときにも話題になった、エコな「天然冷房」。
貯めておける雪の量は250トンにも上ります。
簡単にはイメージできない莫大な量ですが、今はちょうど入れ替え時期。
次の雪が入る直前のため、中はほぼ空っぽでした。残念。

最後に試飲カウンターで試飲をお願いしました。
扱う葡萄はすべて自社農園のもの。
シャルドネ、メルロが中心で、丁寧な造りが伝わってくる味わいです。

c0140044_1302693.jpg

フラッグシップの『越後メルロー』『越後シャルドネ』は
ともに気候の冷涼さが連想できる、しっかりした酸が印象的ですが
一方でチャーミングな果実もあり、決して鋭角的なワインではありません。

まもなくカベルネ・ソーヴィニヨンのプレミアムクラスも発売予定。
こちらのリリースも楽しみです。

電車まで時間があったので、畑の前にあるレストランでコーヒーを飲み、ひと休み。
このお店では、パエリアやピザ、パスタなどが楽しめるようです。
もちろん越後ワインもオンリスト。
暖かい時期に、ピクニック気分で遊びにくるのも楽しそうですね。
[PR]
by inwine | 2009-12-08 13:05 | ワイナリー訪問