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冬の日記
12月は新潟、関西、長野とあちこちへ行ったのですが、
他にもイベントやワイン会にも、ちょこちょこと参加していました。
関西編がやっとアップできたので、1月の分も合わせてまた日記風にまとめてみました。


x月x日

白馬のリゾートホテル、ラ・ネージュ東館の「日本のドメーヌワインとX'masディナー」に参加。

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ゲストは北海道・山﨑ワイナリーの山﨑和幸さん、山形・タケダワイナリーの岸平典子さん
長野・小布施ワイナリーの曽我彰彦さん、山梨・ボーペイサージュの岡本英史さん。

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華やかな雰囲気の中、素晴らしいワインと料理を存分に楽しみました。

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ワイナリーの方々からは、またもやいろいろと貴重な話を聞かせてもらえました。
初めてお会いした山﨑さんのワインは、同じテーブルに同席させていただいた
鹿取みゆきさん推薦の絶品ワイン。

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少量だけ作られたものだそうですが、北海道のソーヴィニヨン・ブランの実力を
垣間見ることができたような気がします。

その後、某有名酒販店のNさんにお誘いを受け、
二次会にも参加させていただいたのですが、調子に乗って飲みすぎました…。

x月x日

松本に来たついでに、あづみアップル=スイス村ワイナリーに立ち寄りました。
ここは見学はできないので、ワインだけ購入。

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「スイス村」という名前から、リゾートテーマパーク的な場所を
勝手に想像してたんですが、実際はドライブインでした。
長野限定・信州りんごキットカットと安曇野のわさび味かっぱえびせんを買いました。

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x月x日

愛宕山の和食のお店「T」のD氏主催のワイン会に参加。
ワインは参加者による持ち寄り形式です。

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「和食とワイン」って難しそうな感じですが、和食にもいろんな素材や調理法があります。
だから例えば寿司や焼肉とかの直球一本やりと合わせようというのは、ぜんぜん違う。
バリエーションがある分、ワインとの相性も広がります。

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この日も「卵カステラ」と甲州を合わせようとか、いろんなたくらみがあって面白い会でした。

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個人的に一番ヒットだったのは、にごり酒を使った出汁で食べる、尾長鯛のしゃぶしゃぶ。

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これが小布施のシャルドネと抜群の相性でした。
ウチではよく金目鯛のしゃぶしゃぶと日本のシャルドネを合わせるんですが
こちらはにごり酒の風味でこってり感がより出ている分、シャルドネの樽ともよく合います。
美味しかった~。
そういや前回のD氏のワイン会でも、個人的な一番は小布施だったような。相性いいのかな。


x月x日

今日は聖なる夜、クリスマス・イヴ。
我が家でもツリーを飾り、ディナーを作りました。

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食卓を飾ったメニューはもちろん…






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ほうとうです!
この日は鶏肉と豚肉が両方入った豪華ノエルバージョン。大好きな油揚げもたっぷりです。

一緒に開けたワインはこちら。

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合わないわけがないやね。クリスマスバンザイ。


x月x日

正月、成城学園の小田急OXへ。
ここは場所柄もあってか、惣菜コーナーになだ万の高級弁当があったり、
6貫入りの「まぐろ寿司セット」がよく見ると(大間の本マグロ)って書いてあって
お値段3000円(!)だったりする、なんだかおハイソなスーパーです。

そんなわけでお酒売り場も100万円のロマネコンティとかシャトーナントカが
ガラス越しにずらりと並んでたりするんですが、
そんなのをぼんやり見てたら、手前のほうでこんなワインを発見。

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山形へ行ったとき、お世話になった天童ワインです!
東京ではほとんど見かけることがなかったので、うれしくなって購入。
バイヤーの人、やるじゃん。

早速、その日に飲んじゃいました。やっぱり美味しかったです。
じゃんじゃん売れてほしいなあ。


X月X日

ひさしぶりに山梨へ。
まずは塩山洋酒へうかがいました。

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若き後継者、萩原弘基さんが初めて本格的に仕込んだワインを試飲させてもらいました。

印象的だったのはブラッククイーン。
酸が強いというイメージの品種ですが、穏やかな酸味と果実感のバランスがイイです。
ベリーAも素直に品種の個性が現れたワイン。
雑味は少なく、綺麗なワイン造りを目指していることが伝わってきます。

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「まずはクリーンでスタンダードなワインをきちんと造ってから。個性を出していくのはそれからです。」
という言葉の奥には未来への情熱がうかがえます。

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原料供給や醸造法の模索など、チャレンジすることはまだたくさんあると話してくれましたが
その第一歩となるワインを味わうことができて光栄でした。
ありがとうございます。美味しかったです!

その次は蒼龍葡萄酒へ。
やはり後継者である、鈴木大三さんを訪ねました。

鈴木さんが仕込み、現在は熟成中の甲州を少しだけ味見させてもらいました。
実はこの甲州、飲ませていただくのは二度目。
前回は秋だったのですが、そのときとはやはり風味の変化が感じられます。
ふくらみが感じられ、とても美味しい。
いずれ瓶詰めされ、手元に届くワインはまた違う味わいになっているはず。楽しみです。

今回は香りに焦点を置いたという鈴木さんは、
長い経験を重ね、今は新しい個性を追い求めています。
ワインはやはり鈴木さんらしさが感じられる味わい。
「甲州のイヤな部分を出したくないんです」という言葉が印象的でした。

風邪気味という鈴木さんですが
「このワインはこんな風にしたい」「次はこんなワインを」と語る表情は
やはり輝いてみえます。

萩原さんと鈴木さんは歴史あるワイナリーの新たな醸造家。
その二人が新しく手がけたワインを味わうことができました。
なんだかいい一年を迎えられそうです。

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夜は「勝沼人の大地」のリリースパーティーへ。

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「勝沼人の大地」は山梨の内田ぶどう園のベリーAと甲州を特別に仕込んだワインです。
2003年から勝沼醸造に醸造を委託してきましたが、2009年からはダイヤモンド酒造にバトンタッチ。
今回の2008年はいわば節目ともいえるヴィンテージとなりました。

ラインナップは赤、白ともこれまでリリースされてきた歴代のワインがずらり。
比べて飲むことができる貴重で贅沢な機会です。

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すぐに感じるのは各年に共通する個性よりも、むしろ年ごとの造りの違い。
同じ勝沼醸造でも、醸造担当の方は交代しているので、
これはある意味、当然のことなのかもしれません。
もちろん、葡萄の出来や特徴も毎年異なります。

こうして飲み比べていると、各年のワインを取り巻く環境が
なんとなく想像できるような気になります。
ワインにはその年に何があったかが刻まれているのだ、と考えると
ちょっとロマンティックな気もしますが、一方でとても重い意味合いも感じます。

そしていずれのワインにも感じられるのが、やはり葡萄のポテンシャル。
以前、甲州を飲んだときにも思ったのですが、
香りや口に含んだときの印象よりも、飲み込んでから余韻までの厚みが違います。
この凝縮感は葡萄の力あってのもの。さすがです。

個人的に一番感銘を受けたのは赤白ともに、今回リリースされた2008年でした。
バランスがとれていて、もっとも洗練された味わいを感じます。
醸造所が変わったことで、今年からはスタイルもがらりと変わるそう。
新しいワインも本当に楽しみです。

x月x日

神奈川在住ながら、山梨で遠農にいそしむ日本ワインラバーのTさんより
聖護院大根を分けていただきました。

早速、奥さんに煮てもらうことに。

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さらに漬物も。

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「皮は厚く切って」と言われたんですが、皮もきんぴらにしちゃいました。

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味のほうはといえば…

いやーウマイ! 変な言い方ですが、美味しい野菜はホントに美味しい。
ダイエットにはサプリや脂肪分カットの食品よりも、おいしい野菜ですな。
こういうのをガンガン食って、肉を控えると。まあ、無理ですけど。

一言で言うと「甘い」んですが、魅力はなんともいえない味の柔らかさ。
下茹でなどしなくても、大根特有のえぐみがまったくありません。
だからいくらでも食べられてしまうイメージ。

日本酒もいいけど、こんなときはやっぱり甲州です。

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ほかに富山ののどぐろの干物を焼いたんですが、これがまたメチャ旨で
日本ならではの贅沢をじっくりと味わいました。大人になってよかったー。
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by inwine | 2010-01-24 16:24 | そのほか
神戸・大阪・京都の美味しいもの

関西はやっぱり美味しいモノの宝庫。今回の旅行でもいろいろ食べてきました。
ワインとはあんまり関係ないけど、またもやオマケということで。

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まずは神戸の明石焼き。お店は三宮駅そばの『たちばな』です。

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ふんわり、とろーり、アチアチ! だしがまたよく合います。
むかーし、はじめて神戸に行ったときに食べた記憶がよみがえりました。

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とても美味しかったけど、蛸は結構小さめ。これが本場流なのでしょうか。

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次も神戸。そばめしです。やはり三宮の『長田タンク筋』というお店にて。
なんだか渋い名前ですね。どういう意味なんだろ。

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すごいボリュームでした。
「薄味にしてあるんで、お好きなソースかけて食べてください」とのこと。
で、用意してあるソースが3種類。これがみんな旨くてうれしかった。

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大阪ではまず串揚げを。今回は高級店の部類に入る『六覺燈』というお店に突撃。
東京の支店はアノ交詢ビルで営業してるそう。

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凝った串揚げが次から次へと。

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これ↓は車海老のダシで炊いたおこわを、桜海老と合わせて揚げたもの。
美味しそうでしょう?

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串が指しているのがオススメのソースになっているシステムです。

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これ↑は合鴨。グラスワインのオーストリアのピノ・ノワールと合わせました。贅沢~。
ちなみにグラスはすべてリーデルでした。さすが高級店ですな。

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一方、こちらは悲しみのカップラーメン。

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駅周りにお店がなくて、乾物屋さん(風のヤマザキデイリーストア)で購入。
お湯と店先のベンチをお借りして、寒空の下、ズルズルすすりました。
いや、結構美味しかったんですけどね。

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2日目の夜はウワサの国産専門のワインバー「ミッシェル・ヴァン・ジャポネ」へ潜入しました。
しっとりと大人な雰囲気のお店です。

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明日の予習と称して、こんなワインを。

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こちらはシェフ。店主ミッシェル氏の弟さんです。料理もおいしかった。

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日本ワインだけを出すという思い切った選択肢で、見事に成功しているやり手のミッシェル氏。
東京でも負けずに日本ワインを盛り上げていきたいと、思いを新たにしました。

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今回は都合で長居できなかったのですが、次の機会はぜひゆっくりお邪魔したいです。

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最終日の昼は、同行のT氏推薦の京都ラーメン『新福菜館』。

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コレ風のラーメンを出すお店は東京にもいくつかありますが、本場のは別モノでした。
見た目はコッテリしてそうですが、意外に優しいお味。

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炒飯も美味しかった。これだけ食べてる人も結構いたほど。

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最後に食べたのはにしんそば。
京都駅・新幹線コンコースの『松葉』。老舗の有名店だそうです。

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正直、蕎麦のインパクトはあんまりありませんが、にしんはすごく旨かった。
甘辛さの塩梅が抜群。これも東京にはない味です。おみやげを買っちゃいました。

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…というわけでいろいろ食べましたが、やっぱり一番記憶に焼きついたのは
仲村さん宅でいただいたイノシシ鍋。

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ホントに絶品でした~。ごちそうさまでした!
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by inwine | 2010-01-20 17:12 | そのほか
京都 『丹波ワイン』

大阪を離れ、次は京都へ。
関西ワイナリーめぐりの旅、最後にうかがうのは丹波ワインです。

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JR園部駅からバスで揺られること30分。そこからさらに10分ほど歩きます。
停留所からの道中には、道標代わりの看板やのぼりがたくさん。

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この日の朝、大阪では前日に続いて雪がちらついていたため、京都はもっと寒いんじゃないかと覚悟していました。
でも幸いなことに思ったほどではなく、ひと安心。

出迎えていただいたのは醸造担当の内貴さんと栽培責任者の末田さん。
内貴さんは非常に魅力的な女性で、帽子がとてもよくお似合いです。
人柄がうかがえる、さっぱりとした明るいトークに惹きつけられます。

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末田さんはワイン造り、そしてワイナリーのすべてを知る生き字引のような人物です。
しかもなお、さまざまな新しい試みに意欲的。
「早くしないと定年になっちゃうから、急いでるんです。」
淡々と語る口調には、飄々としたユーモアが感じられます。

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今回、お会いした造り手の方々に共通して感じられたのが、このなんともいえない「おかしみ」。
出身は関西ではない方でも、やはりご当地の文化の影響でしょうか。
どなたも冗談めいた言葉の奥に、人間味が透けてみえる気がします。

末田さんと内貴さんのお二人も、傍から話を聞いているだけで楽しくなる名コンビ。
チームワークのよさが伝わってきます。
こんな風通しの良さは、必ずワイン造りにも反映するはず。

実は今まで丹波ワインには
『百貨店の銘酒売り場に並んでいるワイン』というイメージを持っていました。
そのせいか、勝手に敷居の高さのようなものを感じていたのですが
現場のお二人は本当に気さくな方たちでした。やっぱり思い込みはよくないですね。

まずは畑を見せていただくことに。
自社畑はワイナリーの敷地内。建物の目の前に広がっています。

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大阪では山の斜面に広がる畑を多く目にしましたが、こちらはフラットな平地。
もともとは農作地ではなかった場所を開墾しています。

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必ずしも好条件とはいえない土地を切り開き、充実した葡萄の栽培を目指す。
そこに、いろいろな苦労があることは容易に想像できます。
しかし末田さんにとっては、やりがいのある挑戦でもあるようです。
畑を案内してもらいながら「次はこんなやり方を試したいと思ってるんです」
というお話をいくつもうかがいました。

「最初は醸造を担当してたんですが、そのうち畑のほうが面白くなってしまって」
末田さんの言葉の端々には、何か新しいことを生み出してやろうという
いきいきとした探究心と企みが感じられます。

育てている栽培品種も実にさまざま。試験品種も含めると、なんと40種類にのぼります。

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温暖な地に多い品種もあれば、いわゆるドイツ系品種もたくさんあります。
この豊かな経験はいずれは丹波ワインだけではなく、
日本ワイン全体の財産にもなっていくのかもしれません。

ワイナリー入口付近に植えられているのはタナやソーヴィニヨン・ブラン。
タナは秋雨に強いのではないかという理由で、試験を始めたというお話でした。
着色はカベルネ・ソーヴィニヨンより遅いけれど、成熟するのは逆に早いそうです。

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一方で古くから栽培されている品種も少なくありません。
ワイナリー創業とほぼ同時期に植えられたリースリングは、すでに樹齢30年。
ピノ・ノワールも20年に達するそう。
これだけ樹齢の高いピノは、全国でもそれほど多くはないはずです。

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下草についてもいろいろな可能性を模索中。
イネ科のソルゴーは水をとらせる目的で植えられています。

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また台木や苗木の栽培・研究にも余念がないとのこと。
末田さんの情熱は、まさにとどまるところを知りません。

自社の畑は約3ヘクタール。
かなりの広さですが、常駐の栽培スタッフは2名だけだそうです。

大阪ではどこへ行ってもイノシシの話題を聞きましたが、こちらの悩みの種はタヌキとアライグマ。
獣害の被害は日本中、どこでも共通で深刻なようです。
鳥よけ(?)のCDもぶらさがっていました。

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建物からしばらく歩いた場所の畑は、野球のグラウンドと隣り合っていました。
このときも高校生たちが練習中。
ホームランが出ると、全部、葡萄樹の中に飛び込んできそうです。
この球場では、現西武ライオンズの銀仁朗選手もよく練習していたとか。

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収穫時期は、8月下旬のソーヴィニヨン・ブランを皮切りに、
10月上旬のカベルネ・ソーヴィニヨンまで絶え間なく続きます。

収穫スタッフももちろん大変ですが、この時期は葡萄をバトンタッチされる醸造スタッフの側にも、
息のつけないような忙しさが待っています。
丹波ワインの場合、扱う葡萄は自社の畑のものだけではありません。
その何倍もの量を仕込まなければならないのです。

しかしそんな忙しさの中でもやはり、このワイナリーの現場では
何か面白いことをしてみようという実験精神を忘れることはないようです。

醸造家・内貴さんのワインは基本的にエレガントで優しい印象。

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ワインの個性はもちろん造り手の考え方や手法だけでなく
畑の風土や天候、生育環境など、さまざまな要因の上に成り立ちます。
また個人的にもワイン造りを性別で分けるのはあまり好きではありませんが、
やはりその味わいには女性らしい繊細さが感じられるような気がします。

ところでワインを表現する際に、よく「チャーミング」という形容をすることがありますが
これは捉えようによっては、いわゆる「フルボディ」の逆、つまり「軽い」というような意味にもなります。

もちろんも否定的な言葉では決してないのですが、
私があるワインを飲んで「チャーミングなワインですね」と感想を伝えたとき、
内貴さんは「やっぱりチャーミングって言われちゃうか」とボソリ。

そのつぶやきに、えてして「薄い・軽い」などといわれがちな日本ワインのイメージから
脱却するんだという、造り手としての矜持がちらりと見えたような気がしました。
(ちなみに個人的には「チャーミング」という言葉はホントに賞賛の意味で使ってます。
 もう若くもないので、凝縮感ではなく単に濃さだけを追求したようなワインは正直、キツイのです。)

醸造場にも新しい技術を取り入れた設備がたくさん。
「こんなものまで」という機器があったり、とても勉強になりました。
最新の技術を秘密めかしたりすることなく、オープンに公開するこのスタンスは
山梨県のシャトー酒折にお邪魔したときとよく似た印象。
どちらも伝統にとらわれることなく、真っ当で新しいワイン造りを目指すところが
共通しているのかもしれません。

そしてもちろん醸造手法の分野でも、新たな試みは行われています。
「これ、何だと思います?」と渡されたグラス。
タンクに入っていたワインですが、かなり面白い香りがします。
なんだろうと考えていたら、末田さんが「梅酒の香りがするんですよね」とポツリ。

そうだ、梅酒です!
…でも品種はなんだろう。知っている香りがするようなしないような。

結局、分からないでいる我々に内貴さんが答えを教えてくれました。
正解は、なんと甲州。でも正直なところ、種明かしされてもピンときません。
このユニークさの秘密は、通常は赤ワインで行うある醸造手法でした。

うーむ。なんとも斬新な発想です。丹波ワインスゴイぜ!

さらに「これも飲んでみて」と空けていただいたのが
赤のスパークリング。

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「日本のフリザンテを作ろうと思って」

その言葉の通り、葡萄はランブルスコ。
イタリアを代表する瓶内二次発酵・微発泡ワインのスタイルです。

これがウマい!
今まで飲んだ赤のスパークリングには、
ややキレ味に欠けるものが多い記憶があったのですが、
このワインは赤ワインのボディーと泡の爽快感を見事に両立させています。

これはぜひ食事とともに楽しみたいワイン。
バーベキューなんかに持っていったら、すぐに人気者になれそうです。



醸造所を見学したあとは、改めて試飲コーナーでテイスティングさせていただきました。

まず印象に残ったのはカベルネ・ソーヴィニヨンロゼ。

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まさしくチャーミングなイチゴやチェリーの香り。
酸は穏やかですが、カベルネらしい骨格があるため、単調さに陥ることはありません。
食中酒として、魚・肉、和・洋とさまざまな料理に合いそうです。

丹波カベルネソーヴィニヨン&メルロー2005年は
まず最初にカベルネの香り、そのあとにメルローの個性が現れます。

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二つの品種のバランスがとてもいい。
穏やかな主張のある酸と柔らかなタンニンがあり
もう少し時間が経てば、このふたつの要素が溶け合い、より成熟したワインになりそうです。
オレンジのような果実のニュアンスが非常に魅力的。

ピノ・ノワール2007年は鉄っぽさの中に、
胡椒のようなスパイス香と紅茶のような香りが隠れています。

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赤い果実を思わせるボリュームのある果実味としっかりした酸。
タンニンの強さがやや支配的で、全体的に若い印象。
もう少し寝かせると、素晴らしい味わいになりそうな
とてもスケールの大きなワインです。これは楽しみ。迷わず購入です。

試飲はできませんでしたが、今回はカベルネ・ソーヴィニヨンロゼの
スパークリングも購入。こちらもとても期待大です。


ところでワイナリー併設のレストラン「丹波ワインハウス」は、
仲村わいん工房の仲村さんも太鼓判を推す本格派。

食材の宝庫、丹波産の野菜や肉を中心としたフランス料理です。
残念ながら今回は行けませんでしたが、次回はぜひ食事も楽しみたいと思います。


帰る頃にはすでに外は真っ暗。お二人にはお忙しい中、長時間お付き合いいただき恐縮の限りです。
いろいろなお話をうかがえて、最高の経験ができました。

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本当にお世話になりました。ありがとうございます!

京都駅まで出た私とT氏は、周辺のデパートなどでお土産を購入。
いよいよ旅は終わりです。

今回のワイナリーめぐりは、普段とはちょっと違う非常に濃~い体験でした。
なんだかワイン観とか関西の印象とか、いろんなものが結構変わったような気がします。
同行したT氏にもお世話になりました。おじさん二人旅、本当に楽しかったです。

それにしても関西ワインのレベルの高さは衝撃的なほどです。
もし目にする機会があったら、ぜひ手にとってみてください。
「こりゃウマイ」と思う可能性大ですよ!
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by inwine | 2010-01-20 03:47 | ワイナリー訪問
消費者が決める!「ジャパン・ワイン・オブ・ザ・イヤー」Vol.2

前回、参加者皆さんのお陰で盛り上がった『消費者が決める!ジャパン・ワイン・オブ・ザ・イヤー』。
早くも第二回の開催です!

今回のテーマはコレ。

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甲州です! 

テーマは前回同様、「プロじゃない飲み手が集まって、イチバン美味しいワインを決めてしまおう!」
まったく堅苦しい場ではありませんので、
「いろんな甲州がいっぺんに飲めて楽しそう」ぐらいの感覚で参加してもらえるとウレシイです。

詳細はこちら ↓。

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消費者が決める!「ジャパン・ワイン・オブ・ザ・イヤー」Vol.2
~甲州 部門~


■開催日 :2010年2月11日(祝)
 □第一部・・・テイスティング審査16:00~
 □第二部・・・結果発表&懇親会18:00~
■会  場 :Marche de VinShu
      東京都中央区日本橋室町3-4-4 JPビルB1F
      03-6202-6600
      http://www.sake-dining.com/marche/
■参加費 :7,500円(ワイン・料理込、税・サ込)
■参加資格 :20歳以上の日本ワインを愛する人
■募集人数 :40名
■出品ワイン:実行委員会幹事4名によるノミネート約25種類

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エントリーはこちら ↓ から

http://www.makersdinner.com/archives/1212838.html

「order」ボタンをクリックしてください。

きっと楽しいイベントになると思うので、皆さまぜひぜひご参加ください!
よろしくお願いします~。


お陰さまで満席になりました! エントリーいただいた皆さま、ありがとうございました!!
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by inwine | 2010-01-14 19:29 | そのほか
大阪 『仲村わいん工房』

大阪のワイナリー、最後にうかがったのは仲村わいん工房。
以前は知る人ぞ知る、といった隠れ実力派ワイナリーでしたが
近頃は首都圏のワインショップや飲食店でも、かなり目にする機会が増えてきました。

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代表的な銘柄といえるのが「がんこおやじの手造りわいん」。

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毛筆風の縦書き文字だけが記されたエチケットは超個性的ですが
味わいもまた他では出会うことのできない、強烈なインパクトに満ちています。

初めて飲んだときからずっと気になっていたワイナリーでしたが
今回、初めてお邪魔することができました。

まず出迎えていただいたのは、若い中村達也さん。
社長の仲村現二さんと同じ名字ですが、漢字は違います。

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最初「ナカムラです」とご挨拶いただいたときに
思わず「息子さんですか?」と聞いてしまいましたが、血縁関係はナシ。
昨年、仲村社長のもとに弟子入りして、現在は畑を中心に作業していると説明してくれました。

ちなみに仲村さんがつけたニックネームは「社長」。ご本人は「会長」だそうです。
最初は仲村さんが社長で、中村さんを「会長」に据えるつもりだったようですが、
「会長だと仕事をしない気がして」晴れて社長就任となったとのこと。

文章にするとなんだかややこしいけれど、
アットホームな雰囲気が伝わる面白イイ話です。
お二人の関係は、いわゆる経営者と社員にはまったく見えません。
まさに生活をともにしながら、芸を受け継ぐ「弟子と師匠」。

「シャチョー、お茶いれて!」などと言われながら、
中村さんはアレコレと師匠の言いつけに走り回っていました。
私たちも滞在中、何から何までお世話になりっぱなし。
中村さん、ありがとうございました!

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さて到着して、まず見せていただいたのは醸造設備。

これはプレス機。変わった形だなと思っていたら、
なんと仲村夫人のお父さんによる自家製だそうです。

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「こんな感じのモノがほしいって頼んだら作ってくれた」そうですが
とてもハンドメイドとは思えない、堂々たる姿。

別のワイン醸造会社の人がこのプレス機を見て、
「うちでも作りたいから、設計図を貸してほしい」と頼んできたこともあるほど。
けれど、なんと図面はまったく引かずに完成させていたそうです。

仲村さんのお義父さんいわく「同じモノを作れと言われても二度とできない」。
つまり正真正銘、世界に一台だけということになります。スゴイ…。


仲村わいんのワイン造りは何から何まで独創的ですが
その象徴ともいえるのが、生ビールタンクでの熟成。

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一般的にワインは発酵後、木樽やステンレスタンクで寝かせたあとに瓶詰め。
さらに瓶熟成を経て出荷されるというパターンが多いのですが
この熟成工程を、生ビールサーバー用の小さなタンクで行っているわけです。
これは仲村さんが(現在も)酒屋さんで、たまたまタンクの調達が容易だったからこそ。

正直なところ、このやり方によってどんなことが起きるのか
詳しいことは素人の私には分かりません。
しかし、そこには何か通常の工程にはない効果があり、
また同時に、通常の工程では当たり前の作用が起きなかったりするはずです。

しかしそれでも臆することなく「せっかくビールのタンクがあるんだから使ってみよう」と、
未知の領域との境界線をヒョイと飛び越える身のこなしは
正直、カッコイイという以外にありません。

ちなみにビールタンクの利点としては、内部の壁にびっしりと滓が張り付いてくれるため
滓引きの手間が省けることだとか。

打栓機は一本一本瓶詰めする手動タイプがフル稼働。

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この手間も半端ではなく大変なはずです。

醸造に関しても、発見はたくさんありました。
発酵はすべて野生酵母によるもの。厳しい選果の後に、古いタンクを用い、低温で非常に長期間の発酵。SO2の使用は極力控える。
…ってコレ、ローヌやロワールの一部の自然派醸造家とかなり近いスタイルです。
おそらく仲村さんは、そんなことを意識されてはいないのでしょうが。

よく自然派ワインについて書かれた本などを読むと
ワイナリーを訪ね、教科書とは異なる醸造工程を目にした筆者が
驚きを綴っている文章を見ることがあります。
専門的なことは分かりませんが、なんだかその心情が分かったような気がしました。

決して近代的で、規模の大きな施設ではないかもしれないけれど
この醸造場には、決まりきった枠にはまり切らない、強烈な刺激があります。
ワイナリーめぐりの醍醐味をかみしめるような思いでした。

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醸造設備の次は、車で畑を案内していただくことに。
ワイナリー所有の畑は、周辺の4か所に点在しています。
とても歩いて回れる距離ではないので、車は必須。移動にも時間がかかります。

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多くは「山の中」といえる場所で、簡単にはたどりつけません。
畑近くの道は、車一台通るのがやっとのほどの狭い道。
舗装もされていず、車はガタガタと容赦なく揺れます。

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当然のことながら、重機などを入れることは不可能。
立って作業するのさえ困難そうな斜面にも、葡萄棚は広がっています。
ほんの少し見せてもらっただけでも、栽培の困難さは十分にうかがえました。
あの圧倒的な凝縮感のワインは、やはり簡単に生まれるものではないようです。


畑にもビールサーバーが!

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収穫を手伝ってくれた人と開く「収穫祭」のときに、飲むためのものだそうです。

畑はほとんどが棚仕立てで、垣根はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロがわずかにある程度。

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先代の時代に植えられた樹は、歴史を感じさせるさすがの風格です。

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垣根畑はやはりイノシシの被害がひどいそうで、
最近も電流の流れる柵を周囲に設置したばかりだそうです。

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これはウワサのミツオレッド。仲村わいんの味の秘密といわれる葡萄です。

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畑を順番に案内していただいているうちに、雪がちらつき始めました。
今回の関西旅行はちょうど寒波到来と重なってしまったのですが
さすがに雪は初めて。山中の畑はかなりの寒さでした。

こちらは山の中とはうって変わって、周囲を水田に囲まれた平地の畑。葡萄は甲州です。

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狭いながらも国道が通り、近くには路線電車の線路もあります。
水はけや日照など、山の中と条件はまったく違いますが「なかなか面白い葡萄」がとれるそう。
ただし棚の高さが低いため、こちらの畑もやはり作業は楽ではないとのことでした。

これは雨水を貯めて利用するための貯水装置。

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さて、畑を案内していただいたあとは、いよいよ仲村さんとご対面。
実はこの日、われわれ一行は夕食のお招きを受けていました。
同行のT氏が受けたお誘いに、私も図々しく便乗させていただいた格好です。

まずは仲村さんとご挨拶。お礼を述べつつ、二人でおみやげに持ってきたワインを献上です。

この日の宴会には仲村さんのお友達、それに飛鳥ワインの仲村裕三社長も参加。
飛鳥ワインと仲村わいん、ワイナリーの場所も非常に近いのですが
実はこのお二人、お父さん同士がいとこという親戚同士。
年齢も同じということで、近年はとくに交流を深めているそうです。
この夜もいろいろな話題が飛び交っていました。
(ちなみにこの夜も、裕三社長から突然の野球大会への参加要請が!
 翌朝も早くから雪がちらついていましたが、仲村わいんのお二人は元気に参加されていました。タフです。)

ところで今回ご馳走していただいたのは…


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イノシシ鍋!

これがお世辞まったく抜きの絶品。
実はこの肉は、仲村さんの畑に現れたイノシシを猟友会の方が仕留めたもの。
一年間、冷凍してじっくり寝かせ、臭みをとった貴重品です。とにかく脂の旨さが最高でした。
そして自家製の生姜の利いた甘いつゆが、これまたプロ顔負けの美味しさ。
こうした「味」への感性もまた、仲村さんのワイン造りの秘密なのかもしれません。

この日はバックビンテージワインも飲ませていただいたのですが、これがまた凄い。
仲村さんは冗談まじりで「これを超えるワインができたら、もうやめる」と
おっしゃっていましたが、味わいはまさに衝撃的。
「日本のワインなんて云々」という人たちに、飲ませてみたい衝動にかられました。

究極の地産地消というか、鉄板ガチガチのマリアージュというか。
とにかく最高の贅沢を体験させていただきました。

鍋をつつきワインを飲みながら、話題はさまざまな分野に。

お父さんが突然、ワイン造りを始めて困惑した話や
関西のワイン造りの現状や、問題を打開するため、未来に向けてどうすべきかという話題。
醸造を始めたときの苦労。イノシシの被害に頭を抱えたこと…。

こうした話を気負いもなく飄々と語る仲村さんには、とてつもない人間的魅力に満ちています。
「畑は友だちに助けてもらってなんとかやってる」とおっしゃっていましたが
それも、ご本人の人柄あってこそのことなのでしょう。

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食事のあとはお宅に泊めていただいたのですが、
翌朝、ビールを飲みながら(!)こたつでまた少しお話を。

「最初はこれで勉強したんです」と見せていただいた醸造の教科書には
几帳面そうな文字で、いくつもの細かい数値が書き込みされていました。
試行錯誤をしていた初期には、かなりの苦労もあったようです。

斬新に見えるさまざまな新しい試みも
当然のことながら、しっかりした土台の上でなければ成り立つはずがありません。
そんな部分を垣間見せてもらったような気がします。


思いもかけないような歓待をしていただいたうえ
貴重な話をたくさん聞かせてもらうことができて、最高の体験でした。

次の目的地へ向かう電車の中で
「今度、仲村さんのワインを飲むときはいろいろ思い出すだろうな…」と
T氏としみじみ語り合いました。

仲村さん、本当にありがとうございました!
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by inwine | 2010-01-10 17:06 | ワイナリー訪問