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大阪 『カタシモワイナリー』

大阪2日目の前半は、カタシモワイナリーにお邪魔しました。
当初は平日に時間を割いていただく予定だったのですが、
こちらの日程の事情で、休日のワイナリーツアーに便乗させてもらうことに。

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約束の朝10時少し前に、高井利洋社長を訪ねました。
案内していただいたのは、テイスティングルーム。

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以前は倉庫だったそうですが、訪問客を迎えるために
水回りの設備やカウンターバーを設置したそうです。

これは実際に使われていた醸造の道具。

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「少し前まで現役」という感じのバスケットプレスなどは
他のワイナリーでもよく展示されています。
しかし、ここまで歳月が生々しく伝わってくるものはあまり多くありません。
メルシャンの博物館を見学したときのことを思い出しました。

カタシモワイナリーの創業は大正元年。まもなく百年を迎える老舗中の老舗です。
高井社長は直系の三代目。
お会いしてすぐに、溢れるような若さとバイタリティが伝わってくる方でした。

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ご挨拶したあと、早速大阪の葡萄栽培とワイン醸造について少し質問。

「大阪のワイン醸造の歴史は、日本酒の技術を取り入れて生まれたもので
 山梨の醸造の歴史とは少し系統が違います。」

「酵母もマスカットベリーAの皮を使って独自に作りました。
 ボルドー液を最初に使ったのも、実は大阪。」

淀みなく語られる話は、どれも興味深い内容ばかり。

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中野喜平を祖とする大阪の甲州(堅下本ぶどう)の歴史は
漠然とした知識としては知っていたのですが、
今回、改めて詳しい話をうかがうことができました。

明治11年、堅下村(当時)の複数の篤農家が苗木生育の命を受けます。
中野喜平はその中で唯一、栽培に成功。
これを機に堅下では葡萄栽培が盛んになりました。

カタシモワイナリーの創業者、高井作次郎氏も明治初期に土地の開墾に着手。
大正元年に最初のワイン醸造を行いました。
これがカタシモワイナリーの出発点となっているわけです。

大阪でワイン作りが一気に広まったきっかけは、昭和9年の室戸台風でした。
もともと河内周辺は生食用のデラウエア栽培が非常に盛んでしたが
このときの台風被害は壊滅的なほどでした。
そこで農家の救済策として、ワイン醸造が特別に許可されたのです。

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以降、ワイン産業は順調に拡大。最盛期には大阪全体で119軒も醸造所があったそうですが
大正創業のカタシモワイナリーは、この黎明期の醸造所よりも、さらに古い歴史があることになります。

ちなみに梅酒で有名なチョーヤも、119軒のひとつ。
本社は羽曳野市にあり、創業当時はワイン造りが本業でした。

しかし現在、本格的に醸造を行っているのは5軒のみ。
地元大阪でさえ、かつてワイン産業が盛んだったことは知られていません。

こうした現状に高井社長は強い危機感を抱いています。
お会いしている間、表現は変わりながらも
繰り返し「大阪は一致団結して産地を守らなければ」という内容の言葉を聞きました。

今、山梨でも甲州葡萄の生産減少が大きな問題となっていますが
大阪が直面する問題はより根が深く、重大なようです。

実は今回の訪問で、私自身は予想以上に葡萄畑が多いことに驚いていました。
しかし、それはやはり知識のなさゆえのことだったようです。
「昔はこんなもんじゃなかった」と語る高井社長の言葉からは
独自の歴史を持つ葡萄産地の誇りが伝わってきました。

近年は特に、自社畑周辺でも耕作放棄地が増えてきたそうです。
高井社長は人手不足に苦しみながらも、そうした畑で葡萄を栽培。
土地の伝統を守ろうと懸命な努力を続けています。


さて、いよいよワイナリーツアーがスタートです。
参加者は我々を除いて10名。珍しいことだそうですが、今回は全員大阪の方でした。
しかも10人中、9人が女性。
東京から来たおじさん二人組は明らかに浮いています。

まずは「皆さんはどんなワインがお好き?」という質問からスタート。
思い思いのことを話す言葉を受けて、高井社長が絶妙な間で笑いをとり
雰囲気は次第にほぐれていきます。さすがは大阪。素晴らしいです。

簡単な説明のあと、すぐに畑へ出発。
「そや、メガホン持ってこ」と社長が手にしたのは拡声器。
ワイナリーへ向かう道すがら、話はまず町の歴史から始まりました。

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ワイナリー周辺は細い路地が続く、実に風情がある町並み。
畑は山の斜面に広がっているのですが、そこに至るまでは古い民家が建ち並んでいます。

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近々、この一帯は橋下府知事の「大阪ミュージアム構想」のもと
地面に石畳が敷き詰められる予定だとか。ますます良い雰囲気になりそうです。

「どうです。いい町でしょう?」
高井社長の張りのある声が拡声器を通して、響きわたります。
もはやワイナリー見学というより、リアル遠足。なんだか楽しくなってきました。

いよいよ畑のある山が見えてくると、参加者の中から
「え、アレ登るの?」というざわめきが。
無理もありません。まるでスキー場のような急勾配です。
しかも寒波が来ていたため、寒い!

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「はい、ここから登りますよー」という声とともに山登り開始。
出発前の「ヒールのある靴の人は、長靴に履き替えて」という言葉は
ただの脅しではありませんでした。
歩いていると、足の甲が斜めに曲がっているのをはっきりと意識します。
雨が降っていたら滑ってしまって、かなり危ないはず。

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それでも高井社長の歩く速度は、進めば進むほどアップしていきます。
最初は残った葡萄を食べて楽しんでいた参加者の方々ですが
だんだん遅れる人が目立ち始めました。
このワイナリーツアー、楽しさは満点ですが甘くはありません。

自社畑はほとんどが棚仕立て。中には樹齢80年にも達する甲州の樹もありました。

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垣根はレゲントやリースリングなどの一部だけです。
ちなみにリースリングは単一品種のワインとしてもリリース。
残った実を食べさせてもらいましたが、12月中旬でもまだ酸がしっかりと残っていました。

大阪には、なぜかリースリングを植えているワイナリーがたくさんあります。
単一品種で正式にリリースしているのは、今のところカタシモだけ。
しかし今回、回った4社は例外なく栽培しており、しかも皆、ある程度の手ごたえを得ているようです。

大阪は気温が高いというイメージがあったので
ドイツ系品種のリースリングはあまり結びつかず、意外だったのですが
もしかしたら秘密はこの斜面にあるのかもしれないと思ったりもしました。

畑を回りながら、続いての講義は「紫ぶどう」について。
これは中野喜平による堅下本ぶどうの導入以前に育てられていた品種で
数百年の歴史があるといわれています。
実はこの品種も、現在の甲州とDNAが一致することが、近年の研究で分かったとのこと。

ここは大阪の有名フレンチ「カハラ」(ミシュラン2つ星だそうです)の専用区画。

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上から見下ろすとこんな感じ。ワイナリーがはるか遠くに見えます。

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まだまだ上へ行く予定だったようですが、予想外に遅れる人が多くなり、残念ながら「途中下山」。

帰り道では、民家の庭にある棚も見せていただきました。

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昔はどの家にも、こんな風に葡萄棚があったそうです。

神社や由緒ある井戸にも寄って、ワイナリーへ。醸造施設や貯蔵室を見せてもらいました。

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木製のピュピトルも。

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驚いたのはブランデーの蒸留器。なんと高井社長の手作りだそうです。

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最後はスタート地点のテイスティングルームに戻り、皆さんお待ちかねの試飲。

「辛口を」「甘いの」「白」「赤がいい」といろんな声が上がります。
「お客さんたち、怖いわ」「もう赤字でっせ」とこぼしながら、高井社長が次々とワインを空けていきます。

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『カベルネ・ベリーA 2007』はトップノーズのハーブっぽい香りが印象的。
どこかエキゾチックで東洋的な芳香です。
カベルネがきれいに熟していて、青臭さはほとんど感じられません。

『メルロ&マスカットベリーA 2009』ははじめに土っぽいメルロらしい香り。
温度が上がってくると、ベリーAのキャンディー香が強く立ってきます。

いずれも自社畑と買い葡萄のブレンドですが、バランスが良く
2000円前後とは思えない洗練されたワインです。

『合名山 堅下甲州葡萄 2009』はクラシックな甲州のスタイルを思わせながら
柔らかく、広がりのある味わいが実に魅力的です。
『軽さ』とも『エレガント』とも少し違う、なんともいえない柔らかさ。
この独特の個性は品種を問わず、
今回の旅でお邪魔したワイナリーすべてで、なんとなく感じた気がします。

こじつけに過ぎないのは分かっているのですが、この柔らかさは一見キツそうに思えて
実はあたりの柔和な関西弁と、どこか共通するように思えてなりません。

最後に「コレも」と空けてくれたのが、瓶熟成中の「合名山 シャルドネ 2009」。

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最初はまだ還元的ですが、空気に触れさせるうちに品種香、柔らかい果実香が立ち上ってきました。
酸、アミノ酸的な旨み、果実味など今の段階ではまだバラバラですが
どの要素もひとつだけが突出していることはなく、バランスのよい構成が感じられます。
余韻は今の段階でもかなり長め。熟成を経れば、きっと素晴らしいワインになりそうです。

カタシモワイナリーに感じるのは、老舗らしい安定感。
あまり高価格帯のワインでなくとも、きっと美味しいのではと思わせてくれます。

では高価格帯のワインは?
それを確かめようと思って、今回は5000円超の自社畑メルロも買ってみました。

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意外にも(?)アメリカンオーク熟成だそう。どんな味なんでしょうか。
飲むのが楽しみですが、いつ空けていいのやら。
ちなみにワイナリーから少し離れた売店は、この看板が目印。いい味出してます。

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進取の気性。負けん気。ユーモア。プライド。そしてせっかちさ。
高井社長は大阪人のイメージすべてを体現しているかのような、とても魅力的な方でした。
これからカタシモワインを飲むときには、必ず社長の顔が頭に浮かぶはず。
これこそが日本ワインならではの特権です。

次は仲村わいんにうかがうんです、とお話したら、その場で仲村社長に電話してくれました。
「あんた、この人たちに剪定でも手伝わせる気やろ? もう準備してる? やっぱりな!」と爆裂トーク。
最後まで笑いがいっぱいでした。

長い時間お世話になり、本当にありがとうございました。楽しかった!
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by inwine | 2009-12-31 02:12 | ワイナリー訪問
大阪 『飛鳥ワイン』

ひめひこワイナリーの次は飛鳥ワインへ。
最寄りの駅は近鉄南大阪線の上ノ太子です。

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この駅、思っていたよりもかなりのどかな感じ。
駅周辺で何か食べようと思っていたのですが、飲食店はまったく見当たりません。
駅前にポツンとある乾物屋さんのような店で尋ねてみても
笑顔で「あらへん」と即答が返ってきました。

ヤバイです。ホテルで朝食を食べたとはいえ、これからまだ長丁場。
ずっと冷たい強風が吹き荒れてるし、昼食抜きはかなりキツそうです。
「どうしようか…」と同行のT氏と顔を見合わせました。

結局、この乾物屋さんでカップラーメンを購入。
お湯を分けてもらって、店前のベンチでずるずると食べることにしました。
寒空の下で食べるラーメンはちょっとわびしいけど、これはこれで楽しい。

ワイナリーは、市街からやや外れたところに位置するケースがよくあります。
本当は大きな町などで小休止しつつ移動すればいいのですが
ある程度、効率重視で回らないとあちこちに行けません。

だからどうしても、昼食などは後回しになりがち。
当然のことながら、ほとんど土地勘もありませんから、
行ってみたら何もなかった、という事態も時にはやむを得ないのです。

九州に行ったときは、昼食がとんがりコーン一箱だったこともありました。
でも、そんなことも逆にいい思い出になったりするものです。



さて少しお腹が落ち着いたとこで、いよいよ飛鳥ワインへ。

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事務所で仲村社長が出迎えてくれました。
とても温和でまじめそうな方です。

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少しご挨拶をした後、すぐに畑を案内していただくことに。

駅からワイナリーまでは上り坂を歩いて数分。
そこからさらに上がっていくと、すぐに葡萄畑が広がり始めます。

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ここ羽曳野市は、昭和初期には柏原市と並んで葡萄の一大産地でした。
当時、大阪は全国で一位を争うほどの生産量を誇っていたそうです。
関東の人間にとっては、大阪のような大都市と葡萄は
あまり結びつかないような気がしますが、
実はワイン造りも非常に古くから行われているのです。

ワイナリーの畑へ向かう間にも、農家さんの棚畑が道の両脇に並んでいました。

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自社畑は山の斜面に広がっています。
作業の効率化を図るため、こんな風にブロックを入れて階段状に。

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ほとんどが垣根仕立て。新しく開墾したところも多く、樹齢は場所によってさまざまです。

丹念に手を入れていることが一目瞭然な、きれいな畑です。

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減農薬、低化学肥料にも取り組んでおり、
昨年、自社畑のデラウェアを使ったワインが
農産物加工品として初めて、大阪府の「大阪エコ農産物」認証を受けたそうです。
後でこの銘柄も試飲させていただきましたが
きれいな酸が印象的なとても美味しいワインで、個人的にも購入させてもらいました。

除草剤は使わずに、いわゆる草生栽培にも本格的に取り組んでいます。
従来の考え方にとらわれない、新しいアイデアを取り入れることもしばしば。
今回、お邪魔した他のワイナリーでも感じたのですが
大阪の人の進取の気性、チャレンジ精神、新しいモノ好きの気風はとても刺激的です。
飛鳥ワインも非常に伝統のある会社ですが、古めかしい雰囲気はまったくありません。

そういえば事務所にお伺いしたときに
大きなディスプレイの新しいMacがあることに気づきました。
実はこの使い手は仲村社長。

後でお話をうかがうと、IllustratorやPhotoshopを
バリバリ使いこなしていると教えてくれました。
一部のワインのエチケットも、デザインから手がけているそうです。
うーん。社長、カッコいいです!

現在は甲州の垣根仕立てにも挑戦中。
先日も仲村わいんの仲村現二社長と共に、グレイスの明野農場に視察にいったばかりです。

しかし、新しい挑戦にはリスクもつきもの。ときには予想していなかったことも起きます。

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これは下草として、芝を植えた畑。
狙いはカバープラントの効果でしたが、
この芝の種類は、これまで葡萄畑ではあまり使われた例がありませんでした。

最初は順調に見えたのですが、そのうち芝の勢いが強くなりすぎて
肝心の葡萄の生育状態が悪くなってしまったそうです。

「下草と葡萄を競争させれば、根がしっかり張る」なんて話をよく聞きますが
実際はそんなに簡単な話ではないのかもしれません。


現在、最も収量が安定していて、同時に高い品質を実現しているのはシャルドネ。
自社畑では他にカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロなどを中心に栽培していて
特別銘柄として販売もされています。

一方で将来を見据えた、新しい品種の栽培も積極的に進めています。
また栽培・醸造を担当する若いスタッフ、福井さんも急成長中。

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歴史あるワイナリーは未来への備えも万全のようです。

ワイナリーに戻り、試飲をさせていただきました。

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『シャルドネ 2005』の色合いは淡く、きれいに澄んだゴールド。
シャルドネらしい品種香と柑橘香が立ち上ります。
味わいもレモンのような爽やかな酸味に、ハーブのような清涼感も。
後口の心地よい自然な苦味もイイ感じです。

重量感のあるタイプではありませんが、
葡萄の凝縮感があり、薄っぺらさは感じさせません。
魚介のオーブン焼きなどと一緒に飲めば、あっという間に空いてしまいそうです。

『カベルネ・ソーヴィニヨン 2005』はMLF由来かと思われる甘い香りのあと
カベルネのストレートで柔らかな果実味が現れます。
樽のニュアンスはそれほど強くはありません。
果実味を覆い隠すことなく、いい塩梅で彩りを添えている感じ。
個人的にはとても好きなタイプです。

こちらもシャルドネと同様、品種の個性がはっきりと出ていて
余計な小細工をしない、造り手の姿勢が伝わってくるワインです。
やはりグラマラスなカベルネを求める人には不向きかもしれませんが
バランスよく、チャーミングなワインを求めている人にはオススメです。

さらに「アレも持って来い」と社長が出してくれたのが
ソーヴィニヨン・ブランとリースリング。
まだ試験醸造の段階で、エチケットもありません。
いずれも2006年と2007年のヴィンテージ違いです。

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これがまた実に素晴らしいワインでした。

ソーヴィニヨン・ブランの06は柑橘系というよりも、
リンゴの蜜の部分のような独特の酸味と甘味があり、
柔らかく、豊かな広がりが魅力的です。
粘度も感じられ、みずみずしい果実をダイレクトに感じることができます。

一方、リースリングの07はアールグレイのような華やかな芳香があり
優しい果実味を、芯の通った酸が引き締めています。
バランスがよく、食中酒として楽しんでも最高なはずです。

この2本はカベルネやシャルドネとは対照的に
品種の個性よりもワインそのもののユニークさがとても魅力的。

親しみやすく、スイスイと喉を通ってしまいますが、余韻もしっかり。
飲み込んだあとも、果実感がふんわりと口の中に残ります。
お言葉に甘えて、いずれも2杯、3杯といただいてしまいました。

面白いのは、どちらの品種もヴィンテージによって個性がまったく違うこと。
香りも味も同じ品種とは思えないほどですが、
年が違っても、造りはほとんど変えていないそうです。
はたして、この個性の違いを生んだ秘密は?? なんとも興味深いワインです。

これからいよいよリリースに向けて、本格的な醸造に入る計画とのこと。
そのとき味わえるワインは、また違った個性を持っているのかもしれません。
今からリリースが待ち遠しくなりました。
仲村社長、貴重なお時間と貴重なワインを本当にありがとうございました!
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by inwine | 2009-12-28 10:55 | ワイナリー訪問
大阪 『比賣比古(ひめひこ)ワイナリー』

関西の旅二日目は、午前中にワイン仲間のTさんと電車の中で合流。
そのまま大阪・柏原駅へ向かいます。
神奈川から始発でやってきたTさん、昨夜は徹夜ということでさすがに眠そう。
日本ワインラバーの方はみんなタフで熱心です。

大阪ワイナリーめぐり、最初の訪問地は『比賣比古ワイナリー』。
高尾山という、標高300メートルほどの山の頂上近くに畑と醸造施設を備えています。

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ここの最大の特徴は、なんといっても『ファミリーゴルフランド』という
ミニゴルフ場が併設されていること。
というより、正確にはゴルフ場にワイナリーがあると言ったほうがいいかもしれません。

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柏原駅からタクシーに乗ったのですが、『ワイナリー』といっても
運転手さんはピンとこない様子。
そこで「打ちっ放し練習場の上にある、ミニゴルフ場です」と言うと
「ああ、そういえばありますな、ゴルフ場」ということで分かってもらえました。

入り口にも、ワイナリーらしき気配はほとんどなし。
かろうじて看板に「ひめひこワイン」の文字がある程度です。

まずは醸造・栽培の仕事をほぼ一人で担う、照屋賀弘さんにごあいさつ。
瓶詰め作業中のお忙しい中を、快く迎えていただきました。

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葡萄の樹は各ホールの間を埋めるように植えられています。
つまり畑の脇を歩きながら、プレイが楽しめるという格好。

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ゴルフ場というと、すぐに鮮やかな緑の芝が頭に浮かびます。
この手入れには当然、農薬の散布が欠かせません。

『ファミリーゴルフランド』でも、前の持ち主のときはしっかりと農薬が使われていました。
しかし、ひめひこワイナリーでは葡萄作りを始めるにあたって
除草剤を一切使わずに育てることを決意。

ゴルフ場管理の会社には
「ゴルフ場と畑、どっちを残すんですか?」と聞かれたそうです。
「両方や!」と答えると、「それは無理です」とあっさり返事がきたとか。
しかし照屋さんは芝も人力で手入れをすることで
今も除草剤の影響を一切受けない葡萄造りを実現しています。

実質的にはたった一人で畑も芝も管理しているのですから、苦労は並大抵ではないはず。
無理といわれると、かえって負けん気を燃やす照屋さんのガッツが伝わってきます。


現在、ワインに主に使われているのはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、マスカットベリーA、甲州。
しかし敷地の中ではこれ以外にもリースリング、テンプラニーリョ、
ピノ・ノワール、ナイアガラをはじめ、実に多くの品種が植えられています。

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また栽培・醸造の手法は従来の枠にとらわれることなく
品種ごと、年ごとにさまざまな試みにトライしているんだと教えてくれました。

これは棒仕立て(?)

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こちらはカベルネ・ソーヴィニヨンの畑。
ただし2列のみ、キャンベルアーリーだそうです。

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樹齢はキャンベルが10年、カベルネが8年とのこと。

ピノ・ノワールに挑戦したきっかけは、
「大阪でピノなんか無理」といわれ、「やってみなければわからない」と反発したからだそう。
温和そのものの照屋さんの笑顔の下にある反骨精神が、ここでも垣間見えました。

畑の手入れはまさに重労働。
夏には一日に5キロ体重が減ることもあるほどだそうですが、
そうした日々の作業に追われるだけではなく、
新しい可能性を追い求めるその姿勢には、まさに頭が下がる思いです。

これだけの苦労をしながらも、照屋さんにはあまり「求道者」の面影はありません。
飄々としたその物腰には思うまま、自然のままの
力の抜けた、どこかほっとするような雰囲気があります。

後日うかがった仲村わいん工房の仲村さんは、照屋さんを
「ええ男ですやろ?」と仰ってましたが、まさにその通り。本当にいい人です。

ところで大阪のワイナリーがいま、共通して抱えている悩みは
ここ数年で急増したイノシシやイノブタの被害。
垣根畑では葡萄の房を食い尽くし、棚の畑では地面を徹底的に掘り返してしまいます。

これはイノシシが食い破ったフェンス。強烈な破壊力です。

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「こっちの奥ですよ」と案内してもらった囲いの中には…

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いました。イノシシ&イノブタ。
寒いのか警戒しているのか、ぴったりと体を寄せ合っています。

しかしデカイ! こんなのと突然出合ったらかなり怖いはず。

憎きイノシシといえども、無許可で駆除することはできません。
今はイヌに尿の匂いを教えているところだそうです。

ひめひこワイナリーでは被害は畑だけに留まりません。
この広いグリーンを一面穴だらけにされた時は、さすがにショックだったそうです。

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さらに少し登ったところにある、見晴らし広場にも案内してもらいました。
階段をのぼって、前方に広がった風景はまさに絶景! 大阪全体を一望できます。

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今回の旅行の間は、ちょうど日本中を寒波が襲っており
頂上には強風が吹きすさんでいましたが、
そんな寒さを忘れてしまうほどのすばらしい眺めでした。

春には周辺を桜の花が埋め尽くすそう。
どれほど華やかな光景か、想像するだけで楽しくなります。

以前はこの広場のあたりも畑があったそうで、棚の一部が今も残されていました。

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醸造設備を少し拝見したあと、最初の建物に戻って試飲をお願いしました。

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試飲カウンターの奥には甲州を使った「康」のボトルが並んでいます。
ここで同行のK氏があることに気づきました。

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よくみるとボトルの形がいろいろあります。
もしやいろんなキュベがあるとか??

「いや、あんまり同じボトルばっかりじゃアレかなと思いまして。」

ホントに飄々とした面白い方です。

まずはその「康」からテイスティング。

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香りは品種の個性が前面に出ていて、王道といった感じ。
特筆すべきは口に含んだあとの味わいの広がり。
太い柱が真っ直ぐに突き抜けるのではなく、
丸く、柔らかみを帯びた厚い旨みが拡散していきます。

飲み込んだ後の余韻も長い。これはすばらしいワインです。

次はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロのブレンド「博」。

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以前、ある方にご馳走になったことがあるのですが
そのときにも、スケールの大きな味わいに感激しました。

果実味も酸もボリュームがありますが、ワイルドなキャラクターではなく
なめらかな口当たりがとても魅力的。
ちょっとびっくりするような完成度です。

そして次に出していただいたのがマスカットベリーAの「華」。
瓶詰めしたばかりの2009年ヴィンテージです。

かなり淡い色調。一見、ロゼかと思うほどです。
透明度は高く、とてもきれい。

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照屋さんによれば、アルコール発酵の段階ではより濃いめの色合いだったそうですが
MLFの段階を経たことで、かなり淡くなったとのこと。

しかし口に含むと、この色調の印象は完全に裏切られます。
しっかりした酸とタンニン、そしてイチゴそのものの甘い香りと果実味。
嫌味がまったく感じられず、ひっかかりなくいくらでも飲めてしまえそうですが
決してボディが軽いわけではありません。
バランスがよいため、ストレスを感じないのです。

うーん。これはイイ。
「ベリーAらしさ」をどこに求めるかは人それぞれだと思いますが
このワインは確かに品種の魅力を存分に引き出し
素直な果実味と、酸やタンニンとのバランスを見事に実現しています。

そしてこのワイナリーに共通するのが、雑味の少なさ。
過度の濾過による、骨格の抜けてしまったような「クリーン」さではなく
ナチュラルに澄んだ味わいがなんとも魅力的です。

そのあたりについて聞いてみたところ、搾汁率の問題かもしれないという答えが返ってきました。
ひめひこワイナリーでは、昔ながらのバスケットプレス式の圧搾機を使用しているそう。
そのため、自然と搾汁率が低くなるとのことで、それで雑味が少ないのかも、というお話でした。

またもうひとつ感じるのが、どのワインも酸がきれいで美味しいこと。
尖ったところはなく、柔らかながらもしっかりとした酸味が
背骨のようにワインを支えています。

照屋さんいわく「酸が好きなんです」。
まさに造り手の個性がはっきりと伝わるワインです。

二人で「美味しい、美味しい」を連発していると、
「じゃこれも飲んでみますか?」と出してくれたのが、甲州の無濾過。
生産本数は少ないようですが、これがおどろくほど美味しい! 
濾過したタイプにさらに奥行きを加えたような、ボリュームのあるワイン。
勝手なことをいえば、全部を無濾過で出してほしいぐらい。


ところでピノ・ノワールは単に反発心から植えただけではなく
ご本人がもともと好きなワインでもあったそうです。
興味を持ったきっかけになったのは
ブルゴーニュの造り手、A&P・ド・ヴィレーヌ。

有機栽培、優しく素直な果実味など
確かに照屋さんのワインと共通する部分は多いかもしれません。
なるほどと思うような、ちょっと意外なようなお話でした。


畑、醸造施設、労働力。
現時点ではいろいろな面で制限もあり、
理想のワイン造りはまだ実現できていないと言います。
それでも「今できる、最高のことをやろうと思っています」と照屋さん。

これからワインはさらに進化を遂げていくはず。
来年、再来年はどんなワインが生まれるのか。楽しみで仕方ありません。

大阪最初のワイナリーでは、予想を遥かに上回る収穫がありました。
照屋さん、本当にお世話になりました。ありがとうございます!
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by inwine | 2009-12-23 16:32 | ワイナリー訪問
兵庫 『神戸ワイン』

関西のワイナリーを回ってきました。今回はワイン仲間の方と二人旅です。
同行してくれるのは畑に詳しい人なので、いろいろ勉強になることも多いはず。
いつも以上に充実した旅になりそうです。

2泊3日で大阪と京都を回る予定… だったのですが
「どうせなら」ということで、ワタシだけ一足早く前乗りすることにしました。
目指すは明石焼きとそばめし。そして神戸ワインです。

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神戸ワインは市が出資して、第三セクターの「神戸みのりの公社」が経営するワイナリー。
地下鉄の一番端の駅から、バスで10分ほど行った農業公園の中に位置しています。

建物は入り口から、かなり気合の入った造り。
大きな建立の碑や動物のキャラクターの立派な銅像があるなど、
建設当時にかなり資金的余裕があったことが、はっきりとうかがえます。

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まずは畑を見せてもらうことにしました。
建物に隣接する形の自社農園は、すばらしい景観。
整然とレイアウトされた垣根畑の間には
きちんと整備された広い道が通り、とても開放感があります。

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日当たりもよく、早朝、この道を散歩したら素晴らしく気持ちがいいはずです。
思わず、意味もなくグルグルと同じ場所を回ってしまいました。

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葡萄の樹もこんなに立派な姿。
ワイナリー設立当時に植えられたものだとすれば、樹齢は20年以上になります。

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樹に付けられたプレートには、いろいろな団体の名前が。
実習のような形で、外部の人に作業を体験してもらっているそうです。

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植えられているのはカベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、リースリング、メルロ。

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こちらは試験圃場。ピノ・ノワール、グルナッシュなどを栽培しています。

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これは畑からやや高台に立つ建物を見上げた光景。

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今はすっかり冬本番。もちろんどこにも房が実っているわけではありません。
それでも畑からは、静かな生命力が伝わってくるような気がしました。

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このワイナリーが設立された重要な目的は、地域の農業振興でした。
収穫した葡萄の全量買い取りを農家に約束するという
大胆な経営方針を掲げてスタート。

また施設内には動物と触れ合える牧場やバードゲージ、
食用牛の見学施設などの遊興設備のほか
ホテルやレストランも併設して、観光収益を上げるという目論見でした。

施設の中には今でも開業の理念を記したプレートや
敷地全体をかたどった模型など、当時の意気込みを物語る展示物が飾られています。

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実際、開業当初はかなりの人出があり、観光スポットとして大盛況だったそう。
オープン当初はこの広場が人でいっぱいになり、前が見えないほどだったという話も聞きました。

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しかし質にかかわらず、すべての葡萄を買い取るという方針は
結局のところ、やはり無謀だったようです。
昨年秋の新聞記事によれば、神戸ワインが抱える在庫は300万本。
経営状態は深刻です。
今回の訪問時には、牧場などほぼすべての観光施設は閉館。
ホテルやレストランも閉鎖されていました。
美しく充実した畑とは対照的とも思える様子です。

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現在、ワイナリーは本格的に再生に乗り出し始めています。
昨年は神戸市が20億円を新たに支援。
さらに、とても明るいニュースもあります。

それはフランスで醸造の国家資格を取得した渡辺佳津子さんが、
昨年からスタッフに加わったこと。
もともと神戸ワインのスタッフだったそうですが、働くうちに渡仏を決意。
大学で本格的にワイン造りを学んだのち、再び神戸に戻ってきたそうです。

古巣の現場に新しい風を吹き込んだことは、想像に難くありません
ワタシ自身は飲んでいないのですが、
今年の新酒はとても美味しかったという話も聞きます。

今回は急遽、訪問を決めたということもあり
お会いすることはできませんでしたが、
いつか機会があれば、じっくりお話をうかがいたいと思います。

歴史があり、丁寧に手入れされた葡萄畑と若く才気ある醸造家。
このワイナリーには、簡単には手に入れられない
きわめて贅沢な財産をふたつも備えています。

もちろん困難な障壁は山ほどあるはずですが、
これから新しい未来が待っていることも間違いありません。
今後、目を離すことはできないと感じた訪問でした。
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by inwine | 2009-12-22 14:38 | ワイナリー訪問
長野 『安曇野ワイナリー』

長野県安曇野市の安曇野ワイナリーへ行ってきました。
先日飲んだメルロのロゼがとても美味しかったので、気になっていたワイナリーです。

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道路から入口に入ると、まずレストラン。
奥に入ると葡萄畑が広がり、さらに奥にショップや醸造施設が並んでいます。
とても整然としたレイアウトで敷地も広く、開放感があって気持ちの良い空間です。

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そもそもの歴史は1981年にさかのぼりますが、今の体制は昨年からスタートしたばかり。
スタッフも施設も自社畑も、そしてもちろんワインも真っさらな新しいワイナリーです。

今回、案内をしていただいたのは醸造・栽培担当の加藤さん。
以前は信濃ワイン、山辺ワイナリーにいらっしゃったそうです。

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お忙しい中、お時間を割いていただくことができました。
まずは畑を見せてもらうことに。

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一面に広がる垣根畑はほとんどがメルロとシャルドネ。
昨年のオープンとほぼ同時に植えられたばかりです。
当然、まだワインを造ることはできませんが、
これからワイナリーの未来を背負って立つはずの大事な樹たちです。

目についたのは樹の周囲の白い砂利。
根元を覆うように敷き詰められています。

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これはいわゆるカバープラントの役割をもたせているそうですが
砂利のミネラル分が畑にどんな効果をもたらすか。
加藤さんも結果が楽しみだそうです。
一方、通り道にあたる部分には芝状の下草が。
きれいに手を入れられたその姿からは、スタッフの期待が伝わってくるかのようです。

この畑の葡萄を使った仕込みは早ければ来年から。
どんなワインが生まれるのでしょうか。
できればワタシも記念すべき第一歩を味わってみたいと思いました。

先ほども書きましたが、植樹が行われたのはワイナリーオープンの直前。
さまざまな仕事を並行してこなさなければならず、当時は忙しくて大変だったとのこと。
ワイナリーはどこもスタッフの数は決して多くはありません。
安曇野ワイナリーも醸造・栽培も2~3人ですべてをこなしています。
「畑は今の規模でいっぱいいっぱい。
 これ以上広げるなら、人も増やさないと無理ですね。」と加藤さん。

実は畑の一番奥には、カベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワールの苗木も。
今年植えたばかりとのことで、まだまだ赤ちゃんといったところでしょうか。
こちらも来年、発芽して新しいスタートを切るはずです。

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ワタシが訪れたのは12月初旬。
もうレストランも閉まり、オフシーズンですが
案内をしてもらってる間にも観光バスが到着。
たくさんの人がショップや畑に押し寄せていました。

畑の後はセラーと醸造施設を見学。
まず樽貯蔵中のメルロとシャルドネを試飲させていただきました。

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これが抜群にウマイ!
いずれも果実味と酸が実にキレイで、
エレガントさを大事にする造りの姿勢がビンビン伝わってきます。

樽発酵のシャルドネはまだ発酵が終わったばかりでしたが
もう完全にスタイルがまとまっており、このまま瓶詰めしてもいいのでは?と
思ってしまうほどでした。
これはリリースされたら必ず買わないと。

こちらは醸造と貯蔵兼用で使用しているタンク。
なんとビールのタンクを流用しているそうです。

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「温度管理がしやすくて、白ワインにはなかなか使いやすいんですよ」と
教えてくれました。なんだか目からウロコです。
地ビールの施設を使ってワイン造り、なんてことももしかしたら可能なんでしょうか。


ところで、以前ワタシが飲んだ「メルロ・ロゼ」は
ワイン用葡萄栽培の新たな試みで知られる、角藤農園の葡萄を使ったものだと教えていただきました。
「セニエじゃないかも」なんて書きましたが、セニエだそうです。スミマセン。
セニエであんな美味しいなら、赤はいったいどんな味なんでしょう。飲んでみたい!

最後はショップに戻り、試飲スペースで試飲を。
スタートしたばかりでアイテム数は決して多くはありませんが
醸造技術の確かさがうかがえるワインばかり。

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特にシャルドネは独特の伸びやかな酸が魅力的でした。

加藤さんには長い時間、お付き合いいただき
また貴重なワインも飲ませていただくことができました。
本当にありがとうございます。
いずれまたおうかがいしたいと思います!

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『Chardonnay Light barrel aging(シャルドネ ライトバレルエイジング)』

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「ライトバレルエイジング」とは少しだけ樽で寝かせたという意味だそう。

搾ったレモンのような、ほのかな柑橘の香りと穏やかな樽香。
酸の豊かさをイメージさせる爽やかな印象。

口に含むと、果実味はやや控えめだが、やはり酸が一本芯が通っていて美味しい。
葡萄の凝縮感がもう少しあれば完璧だけれど、
食中酒としてきちんと主張がありながらも
過剰に目立ちすぎず、いろいろな料理に合わせて楽しむことができそう。
ちなみに今回はこんなモノと一緒に。

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もちろん今も十分に美味しいんですが、
自社畑の葡萄が豊かに実ったとき、このワインは間違いなくより進化を遂げるはず。
そのイメージをはっきりと感じることができた気がします。
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by inwine | 2009-12-16 13:24 | ワイナリー訪問
新潟 『岩の原葡萄園』

新潟のワイナリー、最後は岩の原葡萄園へ。
マスカット・ベリーAの交配などで知られる川上善兵衛が創業。
さまざまな歴史を経て、今に至るワイナリーです。

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今年の国産ワインコンクールでは、『マスカット・ベーリーA 2007』が
「国内改良等品種」部門で史上初の金賞を獲得。
さらに別銘柄も銀賞・銅賞を同時受賞したことが話題になりました。

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JR高田駅から路線バスに乗り、約30分。
道中には『岩の原葡萄園 一号石蔵・文化財』などの案内板も見えます。

案内をしていただいたのは、営業部の鋤柄さん。
石蔵の前で、川上善兵衛の功績やワイナリーの歴史について
簡単な説明をしてもらいました。

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「今、川上善兵衛はワイン用葡萄の交配をした人物として知られていますが
 本来はやせた土地で苦労する地元農民のために
 私財をはたいて、産業を開発した偉人なんです。」

勝海舟との交流でも知られる川上善兵衛ですが
考えてみれば、詳しいバックボーンについてはほとんど知りませんでした。
不明を恥じていると、こんな話を教えてくれました。

「今でも地元の小学校では、善兵衛の研究が学校全体で行われているんです。
 みんな詳しくて、私もかないません。」

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後でこの小学校の研究発表を見せてもらいました。
内容は子供たちが実際に善兵衛に会った人たちを訪ね、
直接インタビューをするというもの。
小学生たちはみずからの素朴な疑問を
おそらく祖父、祖母よりも年上の人々に率直にぶつけています。

歴史的証言ともいえる貴重な口伝を、誰よりも若い世代が受け継ぐ。
研究発表の冊子には、生き生きとした好奇心と
善兵衛の人柄を語る年配の方々の深い想いが
長い長い時間を超えて重なりあっていました。

その光景からは郷土の英雄の偉業を、決して風化させてはならないという
地元の人々の強い意思が伝わってくるようにも思えます。

実は鋤柄さん自身も、善兵衛に人生を決定付けられた一人。
ご出身は長野だそうですが、善兵衛の生き方に影響を受け
地元のワイナリーではなく、岩の原葡萄園を選んだそうです。

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案内してくれた石蔵の中は濃密な雰囲気の空間。
ごつごつとした石の壁から、
当時の作業風景が浮かび上がってくるかのようです。

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この蔵は「二号石蔵」。現在は貯蔵庫として使用されています。
しかし建設当時は、文化財である一号石蔵とともに醸造を行う場所でした。

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ワインの発酵には温度管理が大きなポイント。
発酵によって果汁がアルコールに変わる際、液体の温度は上昇します。
これを放置しておくと、良いワインはなかなかできません。

善兵衛はそのために、山の水を利用することを思いつきました。
トンネルを掘って、冷たい雪解け水を蔵まで引き込み
建物の冷却に用いるわけです。

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これがその「冷気隧道」の跡。
10年ほど前、偶然に見つかったそうです。

残念ながら、このアイデアはあまり成功しませんでした。
これだけの工事をしながら、成果を得られなかったのですから
無念はさぞかし大きかったはずです。

しかし、このトンネル跡は川上善兵衛という人物が
いかに進取の気性と、パワフルな実行力を持っていたかを見事に伝えています。
ゼロからすべてを切り開くという仕事には、こうした素養は不可欠だったのでしょう。

葡萄の交配技術も、基本的に独学でマスターとしたという
善兵衛ならではの力強い歴史の刻印です。

ワイナリー裏手の高台に広がる畑も見せてもらいました。

これはやや変形の一文字短梢。独特のカーブを持った太い樹で、
なんともいえない迫力があります。

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こちらは金賞ワインにも使われた有機栽培転換中の葡萄畑。

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積雪対策のため、手が届かないほどの高さです。

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実際、作業はすべて脚立に登って行うとのこと。
こちらの畑もやはり迫力満点でした。雪との戦いの苛酷さがうかがい知れます。

畑を見て回っていると、「熱心に見てますね」と声が。
作業中のスタッフの方でした。
樹齢や仕立て、肥料などについて詳しくうかがうことができました。

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岩の原ももう剪定は終わりですが、何かと冬支度に忙しそうなこの時期。
お時間を割いていただいて恐縮だったのですが、
あとで何気なく資料を読んでいてビックリ。なんと製造技師長の建入一夫さんでした。
思えばラッキーでしたが、醸造のことなどもっと詳しく聞けばよかった!

帰りは高田駅まで再びバス。ワイナリー前で手を上げると止まってくれました。
鋤柄さん、お世話になりました!

新潟のワイナリーめぐりはこれでおしまい。
またもやいろいろな発見がいっぱいの旅でした。
新潟には新鮮な海産物をはじめ、美味しいものが目白押しです。
ワインは食とは切り離せないお酒。
豊かな食文化の中で、これからももっともっと発展していくに違いありません。
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by inwine | 2009-12-11 16:05 | ワイナリー訪問
新潟 『アグリコア越後ワイナリー』

新潟県の旅、次はアグリコア越後ワイナリーへ。
上越線浦佐駅から車で数分。日本酒の銘柄で有名な八海山にほど近い場所です。

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建物は八色の森公園という公園内に建っており、可愛らしい外観。
もう少し暖かい季節であれば、花や緑、葡萄の房が実った垣根畑などの
美しい風景が出迎えてくれるはずです。

しかし、すでに12月。
厳寒期には、建物が埋まってしまうほど雪が降るこの地では
時間に追われるかのように、冬支度が進んでいました。

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これはワイナリー前にある畑。
もうすべて剪定が終わっています。

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樹の形は斜め方向に伸びており、ワイヤーもすべて外されています。
温暖な地域ではまず見ることのできない姿。
そう、これはすべて豪雪に耐えるための工夫なのです。

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ワイナリーのスタッフの方に聞くと、雪の時期は12月初頭から。
つまり、もういつ降り始めてもおかしくないことになります。
この日はあいにくの雨でしたが、雪に見舞われなくてラッキーでした。

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米どころの魚沼らしく、土壌は完全な粘土質。
気候だけでなく、土壌もカーブドッチやフェルミエの畑とは
まったく違うのが分かります。
たとえ同じ県でも、ワインに個性の違いが出るのは当然といえます。

一度降り始めれば、葡萄の樹たちは雪の下へ。
翌春まで見ることもできません。

第三セクターであるこのワイナリーの名物は「雪室」。
冬の間に降った雪を貯蔵して、熟成庫の温度管理に利用しています。

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洞爺湖サミットのときにも話題になった、エコな「天然冷房」。
貯めておける雪の量は250トンにも上ります。
簡単にはイメージできない莫大な量ですが、今はちょうど入れ替え時期。
次の雪が入る直前のため、中はほぼ空っぽでした。残念。

最後に試飲カウンターで試飲をお願いしました。
扱う葡萄はすべて自社農園のもの。
シャルドネ、メルロが中心で、丁寧な造りが伝わってくる味わいです。

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フラッグシップの『越後メルロー』『越後シャルドネ』は
ともに気候の冷涼さが連想できる、しっかりした酸が印象的ですが
一方でチャーミングな果実もあり、決して鋭角的なワインではありません。

まもなくカベルネ・ソーヴィニヨンのプレミアムクラスも発売予定。
こちらのリリースも楽しみです。

電車まで時間があったので、畑の前にあるレストランでコーヒーを飲み、ひと休み。
このお店では、パエリアやピザ、パスタなどが楽しめるようです。
もちろん越後ワインもオンリスト。
暖かい時期に、ピクニック気分で遊びにくるのも楽しそうですね。
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by inwine | 2009-12-08 13:05 | ワイナリー訪問
新潟 「フェルミエ」

カーブドッチを訪問した翌日は隣接するフェルミエにうかがいました。
2006年、本多孝さんがご家族とともに開かれた新しいワイナリーです。

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建物は醸造設備、貯蔵庫、試飲スペース、ショップ、そしてレストランが
効率よく配置されたレイアウト。外観も中もお洒落です。

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まず醸造設備を見学。もう仕込み作業は終わっているので
機械は片付けられ、空いたスペースでスタッフの方がラベル貼り作業をしていました。

本多さんは以前は東京で証券マンをされていましたが、
30代でワインビジネスを始めることを決意。
それからわずか数年のうちに、みずからのワイナリーを立ち上げました。

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土地選びの際、まず頭に浮かんだのは故郷である新潟でした。
しかし、それだけではないと本多さんは言います。

「気候などの条件を調べていくうちに、ここはかなり良いぞと思ったんです」

取り出したのは数ヶ月ごとの全国の降水量分布図。

新潟市中心街から日本海沿いに西へ。佐渡島の向かいに位置するこの土地は
地図上では、なだらかで小さな突起のように見えます。

「見てください。ここだけ雨が少ないでしょう?」

確かに、どの時期も周辺の土地に比べて降雨量が少なめ。
ピンポイントのように、突起の部分だけ色が違う時期もあります。
特に5月から7月にかけての梅雨どきに、雨が少ないのが特徴的です。

「日照時間がとにかく多いんですよ」

冬もそれなりに気温は下がりますが、大雪が降ることもありません。
一方、夏は気温が30度以上まで上がることも日常的だそうです。

海が近いため、夜温が下がりにくいのが難点だそうですが
それでも降雨量の少なさはワイン造りに関しては、かなりの利点。
台風の被害もほとんどありません。

そんな話をしながら、建物の目の前にある畑も見せていただきました。

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広さは現在0.4ヘクタール。
植えられているのはアルバリーニョとカベルネ・フランです。

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まだ数年の樹齢ですが、しっかりと大地に根づいています。
整然と世話された様子からは、本多さんの真面目さと情熱が伝わってくるようでした。

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「畑の仕事も独りだと大変ですね」

「いえ、楽しいですよ。剪定なんかは特に好きです。」

「大事な工程ですよね」

「ええ。だから人にはやらせたくないんです。」

「この樹は今度、ここをこう切って…」と語る口調からは
これから成長していく葡萄への愛情が感じられます。

最後に建物に戻って、試飲をお願いしました。

ツヴァイゲルトレーベは柔らかながら、しっかりした酸が魅力的。
果実味も強く、2つの要素のバランスは見事に均衡しています。
もう少し時間が経って全体が丸みを帯び始めたら、
より素晴らしいワインになりそうです。

カベルネ・ソーヴィニヨンのロゼは、品種の特徴を反映して
骨格の強さが感じられる、かなりドライなタイプ。
冷やして軽く、というよりも食中酒としてじっくり楽しめそうです。

果実味の素直さがチャーミングですが、
瓶詰め直後はやや発泡感もあり、より気軽に飲めるタイプだったそう。
でも現在のしっかり型の個性もイイ感じです。

そしてさきほど見たばかりのカベルネ・フラン。
太い背骨が真っ直ぐ通った、芯の強さが伝わってきます。
土、スパイスの香り。フランの特徴としてよく言われる
植物的なニュアンスは最初、あまり感じられませんでしたが、
グラスに注いでしばらく経つと、爽やかなハーブのような香りがほのかに立ってきました。

ポイヤックのワインをイメージするような味わい。
無理して造った「強さ」ではなく、風格すら感じさせます。
この骨格や筋肉に、もう少し丸みのあるふくよかさがあれば
鬼に金棒といったところでしょうか。

某有名ワインライターも、このワインをいたく気に入って
個人的に買いたいと申し出てきたそうです。

「本多さんにとって、新潟のテロワールとは?」と尋ねたところ
「カベルネ・フランですね」という答えが返ってきました。

実はワタシは、本多さんはフランス的、あるいはヨーロッパ的なワインを
目指しているものだと勝手に思い込んでいました。
それは前述したようなワインの味わいからの想像だったのですが、
今回、話をお聞きして誤りだったことに気づきました。

「新潟の食、日本の食に合ったワインを造りたいんです」

繊細な和の料理に合わせるには、やはり繊細なワインが不可欠なはず。
しかし、この繊細さは線の細さとは決してイコールではない。
おそらく本多さんの頭にあるのは、そんな理念なのでしょう。
これは日本ワインの未来にとって、非常に重要なテーマなのかもしれません。

「今度、親しくしている寿司屋さんにワインを持ち込んで、飲んでみようと思うんです」

そう言って見せてくれた品書きには、地上がりの新鮮な魚を使った料理の横に
本多さんの手書きで、ワインの銘柄が書き込まれていました。

「白身にはバッカス、牡蠣にはシャルドネ。アナゴにはピノ・ノワールがいけそうそうかな。」

本多さんには以前、イベントで何度かお会いしたことがあったのですが
今回、ゆっくりお話をうかがうえたことは、とても貴重な経験となりました。
やっぱりワイナリーは、行ってみると必ず発見があります。

お話を聞いた後はレストランで、イタリアンなランチ。ウマイっす。

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試飲として、シャルドネやバッカスもいただきました。
2008年のバッカスは無補糖で醸造できたそうです。
やはり芯のしっかりしたワインでした。

追加でカベルネ・ソーヴィニヨンもグラスで注文。
ぜいたくで楽しいランチとなりました。本多さん、お世話になりました!
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by inwine | 2009-12-06 10:50 | ワイナリー訪問
新潟 『カーブドッチ』
新潟県のワイナリー、カーブドッチに行ってきました。

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案内をしていただいたのは、ワイナリー立ち上げの一員である常務の今井卓さん。
畑を目の前に、地勢の話からスタートです。

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実はこのワイナリー、海まで約800メートルの距離。
日によっては波の音が聞こえてくるという立地です。

そのため土壌はこんな風に完全な砂地で、まるで海岸のようです。

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落とした後も、ほとんど手に残らないほどサラサラでした。

長梢に仕立てられたシャルドネ畑の中で
仕立て、剪定、誘引、芽かき、
樹勢のコントロールや樹間の設定などの細かい話から
新潟の風土や食文化というマクロな内容まで、話題は多岐に渡ります。

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今井さんによれば、このあたりはかなり温暖な気候。
歩いていけるほど近くで雪が積もっていても
畑にはまったく降らないということも多いそうです。

ワイナリー建設にあたりこの地が選ばれたのも、
なんらかの地縁というより、土地の特性がワイン造りに向いているという
実利的な判断の結果だったそうです。

醸造所としての特徴はまず扱っている品種の多さ。
ツヴァイゲルトレーベをはじめとするドイツ系。
カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネなどフランス系。
あるいはイタリア系のサンジョヴェーゼまで。驚くほどのバリエーションです。

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ドイツ系品種が多いのは、実は北海道ワインとの関係から。
カーブドッチの落社長は北海道ワイン・嶌村社長と血縁関係で
ワイナリー造りの基礎を北海道で学んでいた時期もあるそうです。

今回、さまざまな話をお聞きする中で、
最も感銘を受けたのが果敢なチャレンジ精神でした。
栽培・醸造合わせて社員は6名という少数精鋭ですが
どの分野においても、さまざまなレベルで新たな試みが続けられています。

そのため品種によっては、年ごとに造りががらりと変わり
まったく異なるスタイルのワインが生まれることも。

またある時期には、天然酵母での発酵にも挑戦。
やはり試行錯誤があったようですが、
その成果は現在のワイン造りにも生かされています。

現在は醸造・栽培両方の統括的な立場にいるため、
なかなか時間がとれないという今井さんですが
少し前までは畑にも積極的に出ていたそうです。

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このあたりのような完全な砂地では、メルロの栽培はなかなか難しいようですが
今井さんはみずからが独りで世話をする区画を持ち、
独りで笠かけをするなどして、立派な葡萄を育て上げたりもしたそうです。
また、やはり小区画限定で無農薬栽培に挑み、驚くような成果を得たことも。

「わずかな日陰があって、日の出直後の朝日が当たらないだけで
 葡萄の生育はがらりと変わってしまうんです。」
実例を交えた今井さんの話には、説得力に満ちていてとても刺激的でした。

こうした挑戦の精神は、実は創業時から脈々と受け継がれてきたものです。
新興ワイナリーが葡萄栽培から手がけるという例は、
当時はほとんど例がありませんでした。
同業の全員が無謀だといって反対したそうです。

しかしあえて自社葡萄にこだわったワイン造りを決意。
新しいワイナリーリゾートのモデルを作り上げることで
見事に成功を収めました。

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今井さんたちの試みには、ときに大胆すぎることもありましたが
その分、大きな発見も少なくなかったようです。

しかしそれでも「まだまだ分からないことだらけ」と今井さん。
「すべてが偶然かもしれないですからね」という言葉からは
自然への畏敬の念が伝わってきました。

多くの可能性を追い求める一方で、
「ワインは余計なことをしすぎず、自然な造りがいいんだと気づきました」とも。

以前、下草としてマメ科の植物を植えたのですが、
「この場所の生態系にないものを取り入れるのは、やっぱり不自然」と
考え直したこともあったそうです。

試飲をお願いしているときには、こんな話も。
「お客さまにはよく『ワイン造りは流木を削って、彫像を造るようなものだ』という話をするんです。
 荒っぽく削って、ワイルドな味を出している像もあれば、
 しっかり削りこんで、写実的でリアルな像もある。
 ワインもそれと同じ。もちろん巧拙もあるけれど、いろんなやり方があるのがワインなんです。」
 
今井さんには結局、4時間以上もお話をうかがうことができました。
お忙しい中、お付き合いいただき、ありがとうございました!


夜はワイナリー併設のレストランで、フレンチの夕食。

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メニューにはなかったのですが、
幸運にも「ピノ・ノワール Private Reserve 2006」をお願いすることができました。

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果実のコンフィチュール、バラ、シナモン系のスパイス。
味わいは黒系果実、植物的なニュアンスも。
肉付きのよさをしっかりした酸が支えていますが、
やや堅く閉じている印象もあります。

抜栓30分後、奥のほうにあった果実味が少しずつ開いてきました。
日本のピノ・ノワールには珍しいボリューム感があり、
モダンなスタイルを感じさせるワインです。
重厚なポテンシャルがはっきりと伝わってきて、
あと数年熟成させたら、さらにいい感じになりそう。
でも、その頃にまた会うことはできるんでしょうか?

ワイナリーの敷地内にはスパや岩盤浴などを備えた温泉宿泊施設や、
天然酵母のパン(絶品!)、ジェラート、
地ビールと自家製ソーセージなどの美味しい店も充実。
大人が楽しめるリゾートです。
ちなみに、周辺にはびっくりするぐらい人懐こいネコがたくさんいます。

今回は宿泊もしたのですが、部屋も広く、清潔で
とても快適な旅を楽しむことができました。
小さなワイナリーめぐりも楽しいけれど、こんな旅行ももちろん最高。
温泉とワインと美味しいものが好きな方はぜひ!
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by inwine | 2009-12-05 13:10 | ワイナリー訪問