カテゴリ:ワイナリー訪問( 58 )
収穫シーズン!!

あっという間に10月。各地の葡萄畑では収穫シーズン真っ盛りです。
今年も9月の頭から山梨でお手伝いをしています。

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今年の夏は梅雨明け宣言後に雨が降り続きました。
その影響で、栽培家や農家の方は苦労が絶えなかったようです。

でもその後は好天が多くなり
日中の気温が上がる一方で、夜間は涼しいという理想的な日が増加。
最終的にはとても良い作柄になりそうだということでした。

「2009年ヴィンテージ」の登場は早くて来年、熟成モノは再来年以降。
まだまだ気は早いけれど、どうやらかなり期待して待っていていいようです。

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シャトレーゼのシャルドネは張りのある粒が印象的。
糖度もかなり上がっているというので、実際にかじらせてもらうと…

おお! 確かにびっくりするほどの甘さです。
このまま食卓でデザートとして出してもいいくらい。
とはいえ、もちろん酸もちゃんと残っていて、
ワインになった時の骨格を想像することができました。

ソーヴィニヨン・ブランもかなり良い出来。

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仕込みは順調に進んでいるようです。

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醸造担当の戸澤さんはこの品種で毎年、さまざまな試みを重ねています。
そのためワインは年によって多種多様な個性。

今年も何種類かに分けて仕込み、
戸澤さんがイメージする、複雑で絶妙なバランスのワインを目指しています。
今年のヒントは「官能的な日本のソーヴィニヨン・ブラン」。
なんだか楽しみでしょう?

メルロは粒が大きめ。色づきもかなりよく、ボディ豊かなワインが頭に浮かんできます。

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戸澤さんはこの葡萄を、どんな風に料理するんでしょうか。
シャトレーゼのメルロは個人的にも大好きなワインなので、こちらも楽しみで仕方ありません。

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忙しさピークのこの時期。少しお疲れモードです…。



アルプスワインの収穫にもお邪魔しました。

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メルロは病気がほとんどなく、しっかりとしたボリュームのある房が印象的。

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醸造の前島さんも戸澤さん同様、毎年わくわくするような試みにチャレンジするタイプです。
このメルロもどんなワインになって目の前に現れるのか、まだ分かりません。

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ちなみに今年瓶詰めされたデラウェアも、今までにはなかったタイプ。
アタックの鮮烈な酸の一方でほどよい甘みがあり、骨格も十分感じられます。
先日の「アサンブラージュ体験」でも、ブレンド用として出ていたんですが
「これだけ瓶詰めして持って帰る!」という人がいたほどでした。
酸のしっかりしたタイプがお好きな方は、ぜひお試しあれ。
ちなみにちくわの磯辺揚げとのマリアージュは世界チャンピオン級でした。

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前島さんは収穫の合間に、NHKの番組の撮影も。人気者ですね。
今年は文部科学省から醸造技術に関して表彰されたり、乗りに乗ってます。




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収穫のあとはやっぱりワイン… じゃなくて、

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ウマー!

(このオチ、前にもやったような…)
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by inwine | 2009-10-02 10:04 | ワイナリー訪問
長野「マンズワイン・小諸ワイナリー」
長野県小諸にあるマンズワインのワイナリーへ。
1時間半ほどしか時間の余裕がなかったので、駆け足で見て回りました。

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途中、小諸駅近くの地元酒屋さんでちょっとムフフなワインをゲットしつつ、ワイナリーへ向かいます。

入口を入ってすぐ、建物の間にある畑には試験栽培の品種がこれでもかっていうぐらい並んでいました。
さすが業界のリーダー。

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もちろん「信濃リースリング」「浅間メルロ」など、マンズが交配して実際にワインとなっている品種も。

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「万力」という葡萄、不勉強にも初めて知りました。

まさに葡萄品種の生きた教科書といったところです。しばらくウロウロしてしまいました。
ご本家、レインカットの説明もこんな感じで。

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棒仕立ての実物もあったり。

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いやー、これは楽しい。勉強になりました。

このあたりの樹は樹齢20年以上。迫力あります。

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裏手には巨大な屋外貯蔵タンクがそびえ立っています。さすが大手という感じでした。

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樽もタランソー、ヴィカールなどの高級品がずらりと並びます。

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では試飲を。以前は上級銘柄のソラリスも無料だったそうですが、今は3種類で500円必要です。
そういえばワインの価格も一気に上がったのを思い出しました。
(ただし購入の場合はキャッシュバックしてくれます。)

試飲スタッフの方といろいろお話していて、信濃リースリングの話題になったとき、
「これは私が交配したんですけどね」とボソリと一言。
えっと思いよくよくお聞きしてみると、なんと志村富雄さんと一緒に交配を手がけた中山正男さんでした。
(ちなみに『独立行政法人 果樹研究所』のサイトにもしっかりとお名前があります。)

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今は会社から請われて、非常勤スタッフとして売店にもいらっしゃるそうです。
こんなスゴイ人に会えるなんて、ちょっとビックリでした。

小諸ワイナリー設立当時のメンバーだったという中山さん。
当時の興味深いお話をいろいろとお伺いすることができました。

最初はまったく思い通りのワインができなかったこと。
コツコツと毎年細かいデータを蓄積しながら、土壌や天候を分析して、葡萄の品質を高めていったそうです。
研究の結果、契約農家の畑をすべて違う品種に改植してもらったことも少なくなかったといいます。
歴史の生き証人のような方の言葉は、やはり重みが違います。
中山さん、貴重なお話をありがとうございました!

数アイテムを試飲させてもらい、購入したのはまず『ソラリス 信州小諸メルロー 2006』。
柔らかく洗練された果実味と樽の上品な香りがバランスよくマッチしています。

そして『ソラリス 信濃リースリング 2007』。
ズースレゼルヴェ(発酵前のジュースを添加)の手法を用いた甘口ワイン。
以前に辛口をいただいたことがあるのですが、今回は甘口を。
中山さんのお話を聞けた記念の意味もこめて買わせていただきました。

(ちなみに偶然ですが、ちょうど同時期に結果発表された国産ワインコンクールで、どちらも銅賞を受賞していました。)

短い時間でしたが、本当に有意義な体験ができました。
今回は大手ということもあり、軽い観光程度の期待しかしていなかったのですが、
やはりワイナリーは行ってみないと分からないものですね。
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by inwine | 2009-08-12 12:46 | ワイナリー訪問
長野「ヴィラデスト・ガーデンファームアンドワイナリー」
ココファームの後は、長野県東御市の「ヴィラデスト・ガーデンファームアンドワイナリー」へ。
この地の標高はなんと850メートル。最寄り駅のひとつ、上田駅からもかなりの道のりがあります。

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到着したのはすでに夕方5時過ぎ。しかも雨がかなり降っていました。
ワイナリーの扉を開けると、そこにはどこかで見た顔が。
そう、オーナーの玉村豊男さんです。
お忙しそうにすぐにどこかへ行ってしまったのですが、ちょっとビックリしました。
もちろんご本人がいらっしゃっても、全然驚く理由はないんですが。

もともとカフェで夕食をとる予定で来たのですが、その前にワイナリー前の畑を見せてもらうことに。

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シャルドネとメルロ。ていねいに世話をされていることが伝わってくる綺麗な垣根の畑です。

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ワイナリーそばの一角ともう少し離れた場所の、ふたつの区画の畑を見たのですが
幹の様子からも樹齢の違いは明らか。

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奥の畑はかなり立派な太さです。

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周囲の壮大な風景に溶け込み、とても美しい風景でした。

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葡萄の樹のすぐそばにはトマトの畑も。さまざまな品種の名札がつけられていました。

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ワイナリーの建物と道をはさんで反対側にあるガーデンにも、
いろいろな果物や野菜、花々が植えられ、訪問者の目を楽しませてくれます。
ちょっとした散歩をするには、絶好のロケーション。

高台から見下ろす街や、見渡す限り広がる空もすばらしい景観でした。
これはかなりオシャレ。観光スポットとしてもかなりイイ感じです。

ただしこちらでは無料・有料を問わず、試飲コーナーは用意されていません。
なので、いろんなワインを試してみたいという人にはあまりオススメはできないかも。

そもそもワイン自体がかなりの人気のため、多くが売り切れ状態。
販売中のアイテムは種類が限られているので、やむを得ないかもしれません。

私も畑を見せていただいた後、すぐに食事をとることにしました。
カフェの窓際の席からも、畑が見えます。

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スタッフの方と相談して決めたメニューはこちら。

サーモンの燻製と野菜サラダ。

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若鶏の胡桃ソース焼き。

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どちらもビストロ風の美味しいフレンチです。
野菜がたっぷりで、ボリュームも見た目以上でした。
ここまで本格的な料理が食べられるワイナリーは、あまり多くはないはず。

そして肝心のワインはヴィニュロンズリザーブのシャルドネとメルローを。

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実は勝手にオーク樽の風味や果実味の強い、肉厚なワインを想像していたのですが
いい意味で裏切られました。
ともに葡萄のポテンシャルが素直に伝わってくるワインです。

シャルドネは最初、きれいな品種香。温度が上がるにつれ、青リンゴのような爽やかな香りが立ち上ります。
アタックは熟しかけた柑橘系フルーツの印象。ほんの少し苦味も感じます。
厚みのある中盤のあと、フィニッシュにもほのかな甘みと心地よい収斂味。

メルロも、いかにもこの品種らしい土っぽさと凝縮した果実味が魅力的。
地の新鮮な野菜の旨みと、メルロの滋味がよく合いました。

少しだけ顔を見せた夕日を見ながら、ワイナリーを後に。

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本当に素晴らしい景観です。
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by inwine | 2009-08-11 17:13 | ワイナリー訪問
栃木 ココ・ファーム・ワイナリー

栃木県・足利のココ・ファーム・ワイナリーに行ってきました。

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東京から足利駅までは約1時間半。そこからタクシーに15分ほど乗って到着です。
今回は毎日行われている見学コースに参加してみました。

まずは山一面に雄大に広がる畑の前で、ワイナリーに関する簡単な説明を受けます。

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有名な話ですが、母体は知的ハンディキャップを持つ人々のための「こころみ学園」。
園生の運動のために斜面に葡萄を植えたのが栽培の始まりだったそうです。
そこから次第にワイン作りに着手。
やがてアメリカから醸造コンサルタントのブルース・ガットラブさんを招聘して、
ワイナリーとして今日の名声を築いていきました。
しかし、今に至るまでの道のりは決して平坦なものではなかったはずです。

「よくないワインができたときにも、絶対にハンディキャップのせいにはしない」という
川田園長とブルースさんの約束のもと、
「同情ではなく品質でワインを買ってもらう」ことを誓って歩んできた誇り高きワイナリー。
その志の高さには多くのことを考えさせられます。

ところでこの斜面、ウワサには聞いていましたが、実物は予想以上の迫力。

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最も急なところで45度の傾斜だそうです。
スキーの上級者コースが35度程度らしいので、かなり強烈な急勾配といえます。

まずは醸造機器を見学。とはいってもこの時期、醸造は完全にお休み中です。

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プレス機も除梗破砕機も選果台もみんな端のほうに片付けられていました。

次はセラー。

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そしてシャンパーニュスタイルのスパークリング、「ぐらんのぼ」のセラーへ。
ピュピトルにずらりとボトルがささっていました。

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これを毎日、少しずつルミュアージュするという、クラシカルなスタイルで作業を行っているそうです。
ドサージュ機も打栓機も昔ながらのこんな手動式がバリバリ活躍中。

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印象的だったのは、このスタイルを採用したきっかけです。
スタッフがシャンパーニュに視察に行った際、動瓶作業を見て「これは園生の作業として取り入れられる」と閃いたとか。
伝統的な手法の陰に、そんなエピソードがあったとは!

次はいよいよ畑へ。
一番下部にある生食用のブラックオリンピアの前で、畑の話をお聞きします。

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遥か遠くに見える頂上部に植えられているのはマスカット・ベリーA。
フラッグシップワインのひとつ「第一楽章」に使われている葡萄です。

その下は意外にも甲州三尺×リースリングの交配品種、リースリング・リオン。
これはスパークリングの「のぼブリュット」に使われています。

そこから下へ順番にノートン、タナ、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・マンサン。

畑の獣害について聞いてみたところ、最近はイノシシが多いとの話。対策は夜間に照明を当てることだそうです。

「興味があれば、上まで登ってもらって構わないですよ」との言葉をいただき、斜面に挑んでみることにしました。
いちおう舗装された道はあるのですが、勾配はやっぱりかなり急。足首が縦に曲がる感じです。

葡萄の樹はすべてスマート・マイヨルガー方式の棚仕立て。
しかし、ここの畑をこまめに見て回るのは大変だろうなー。

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畑の陰でひそかに咲く百合を見つけたり。

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途中で下を見下ろすと…。

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でもやっぱり歩き始めてすぐに息が切れてきました。結局“五合目”ぐらいで下山を決意。
この後、試飲もしたいので勇気ある撤退です。

「この辺にしといてやるか」とつぶやきつつ、さきほどの場所まで戻ると、
栽培担当のスタッフ・島野さんを発見。

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作業中にお邪魔かとは思ったのですが、少しだけ立ち話に付き合っていただきました。
見上げるような斜面ですが、一番上のほうも見た目ほどは気温は変わらないそうです。
ただ夜温は少し低めとのこと。

今年の生育状況についても聞いてみたところ、
やはり梅雨明け宣言後の雨が続いたことが、かなり悩みの種のようです。
それでも例年通り、よい葡萄ができそうとのことでした。来年のワインも楽しみです。
話をするうちに、なんとこのブログのことを知っていてくれたことも判明。ちょっとうれしかったです。

ではワイナリーの建物に戻り、カウンターで試飲を。

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案内をしていただいた加納さんにワインを注いでいただきながら、
ワインをめぐるいろんな話で盛り上がりました。

リリースされたばかりの北海ケルナー2008は野生酵母使用(現在はほとんどのワインが野生酵母で発酵させているそうです)。
発酵が途中で止まったため、残糖を残したタイプになったとのことですが、アルコール分は14.5%もあります。
すっきりした甘さと太い骨格をあわせ持つワインです。

「園長先生の白ワイン」のイラストが南伸坊画伯だったとは知りませんでした。
この人の「面白くっても大丈夫」という本は中高生の頃、大好きでした。関係ないけど。
ちなみにボトルの中身はときどきスーパーでも見かける「足利呱呱和飲」。やわらかくて面白いワインです。

「マタヤローネ」はアマローネをもじった甘口ワイン。
こちらもリリースされたばかりで、ワイナリー以外ではあまり出していないようです。

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ベリーAの香りがはっきりと感じられる(当たり前ですが)デザートワインで、なんだかうれしくなる美味しさでした。
ワインの名は園生たちが農作業のあと、「またやろうね」と言い合う言葉が由来だそう。いい話です。

定番の農民ロッソや農民ドライも、もちろん文句なしの美味しさでした。
農民ロッソの07ヴィンテージはカベルネソーヴィニョン/メルロー/ツヴァイゲルトレーベ/ベリーA/カベルネ・フランのブレンド。
ブレンド具合はまさに絶妙です。香り、アタック、中盤、フィニッシュと「ワインの設計」を感じます。

試飲のあとは併設のカフェでプレートランチ。野菜がすごく美味しかったのが印象的でした。

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この時期だけぐらんのぼが特別にグラス売りされていたので、それも注文。
テラス席から見る畑はこんな感じ。

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お腹もいっぱいになったところで出発。ココ・ファーム、楽しいワイナリーでした。
さて次の目的地に向かいます!
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by inwine | 2009-08-09 11:38 | ワイナリー訪問
山形ワイナリーめぐり<4> タケダワイナリー&天童ワイン

山形の旅、最終日はまずタケダワイナリーへ。

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午後1時にうかがう予定だったのですが、少し早めに着いてしまいました。
ワイナリーはまだ昼休み。
「よかったら畑でも見ていてください」のお言葉に、すぐ裏手の畑を見せてもらいました。

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垣根で仕立てられたシャルドネ。樹齢の高そうな幹です。

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下草の奥に隠れた土を、少しすくってみました。

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ふかふかでいかにも水はけがよさそう。鼻を近づけると健康そうないい匂いがします。
自然の力が伝わってくるような土でした。

敷地をさらに進んだ畑もちらっと拝見。こちらは青々した草が生い茂っていました。

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なぜか敷地内ではスプリンクラーが激しく稼動中。
芝があるわけではないのにと不思議だったのですが、この理由は後で判明します。

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1時にワイナリーの昼休みは終了。合図の鐘が鳴り響きます。
まもなく出先から岸平和寛さんが戻られました。

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岸平さんは醸造を担当する社長・典子さんのご主人。
忙しく営業活動に歩き回られ、ワイナリーの顔として活躍されています。
この日も夜から、東京・千駄木ののだやさん主催のワイン会に出席される予定。
ご多忙の中、少しだけごあいさつさせていただきました。

ピノ・ノワールの畑の場所を教えていただき、案内役のスタッフの方と一緒に向かうことに。
ワイナリーの前にはこんな雄大な風景が広がります。

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見渡す限りの葡萄畑はすべて自社の所有です。圧巻の風景でした。
ちなみに先ほど鳴った昼休み終了の鐘は、ちゃんと山の上にも届くそうです。

この日は総出で草刈りの真っ最中。
職場体験に参加していた中学生も作業に加わっていたそうです。
そういえば、駅で改札してくれたのも中学生たちでした。

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しばらく歩いたあと、これかなという場所を発見。
大粒の房がついています。ピノ・ノワールの樹はわずか2列のみ。

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道すがら、栽培担当の方とも立ち話。
「ピノ・ノワールを見に行ったっていうから、場所分かるかなって話してたんですよ。いい葡萄でしょう?」

はい。ホントに元気そうな葡萄でした!

ワイナリーに戻り、設備を見学。まず向かったのは地下の貯蔵室です。

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実はさっきのスプリンクラーはこの真上の地面を冷やしていたんだそうです。
おかげで中はひんやりとした涼しさが保たれていました。

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醸造設備やセラーなどもちらりと見せてもらった後、試飲室で試飲をお願いしました。

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飲んだことのあるアイテムも多かったのですが、やはり葡萄の充実を感じるものばかり。
ベリーA主体の『アサンブラージュ』赤は名前の通り、ブレンドがまさに絶妙。
白(シャルドネ&ベリーA)とともにコストパフォーマンス抜群のワインです。

コストパフォーマンスといえば、定番『蔵王スターワイン』も外せません。
1260円という価格ですが、バランスのよさと優しい味わいはお見事のひとこと。

「キュヴェ・ヨシコ」などのプレミアムワインと、こうしたお買い得なワインの両方が
ラインナップされているのが、タケダワイナリーの魅力です。

今回は『ドメイヌ・タケダ ブリュット シャルドネ 1997』、『蔵王スターアイスワイン 2007』なども購入。
壮大な畑を横目に見ながら、ワイナリーを後にしました。皆さん、お世話になりました!


かみのやま温泉駅から電車に乗り、天童駅へ。次に向かうのは天童ワインです。

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駅からはタクシー。運転手さんが偶然、ワイン好きということでなんだか話が盛り上がりました。

ワイナリーの見学は要予約ということで、今回は試飲のみをお願いすることにしました。
お相手していただいたのは、醸造の責任者・佐藤政宏さん。

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ワイナリーとしての創業は1984年。山形のワイナリーは創業が古いところが多いため、
「ウチは歴史が浅いんです」と佐藤さん。
けれど25年という月日は決して短いとはいえません。

山形に戻る前には、山梨のまるき葡萄酒で修行をされた経験も。もう30年近く前の話だそうです。
ワイン造りの苦労をお聞きしたところ、農家さんとの関係作りについて話を聞かせてくれました。

佐藤さんが山形に戻って仕事を始められた頃は、ワイン用葡萄に関する理解はまだ高くはなく
質の高い葡萄を手に入れるのに苦労したそう。
農家さんを交えてさまざまなワインを飲んだり、交流を深めながら
少しずつ信頼関係を築いていったということでした。

現在、天童ワインのフラッグシップといえるのが『原崎シャルドネ 2006』。

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この「原崎」(ばらざき)というのは地名ですが、
ワインの原料となる葡萄は一軒の農家さんの畑で作られています。
見事な斜面の写真がボトル裏にも貼られていました。

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味わいは品種の個性が真っ直ぐに打ち出された本格派。
樽も使われていますが、葡萄のポテンシャルをマスキングするような過剰な強さはなく
充実した果実の魅力が伝わってきます。中盤のボリュームがしっかりと感じられ、骨格も十分。
また丁寧に作られたことがうかがえる、クリーンさも備えています。
「こういうワインが作りたい」という造り手の思いが伝わってくるようでした。

よりリーズナブルな『山形シャルドネ 2008』もそうした個性の面はまったく同じ。
すっきりと飲める、清清しいワインです。迷わずゲットしました。

「ベリーAはお好きですか?」と聞かれたので「ハイ」と答えると、
「これはよく酸っぱいっていわれちゃうんですけど」と
『荒谷原マスカットベリーA』を注いでくれました。

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エチケットには「マロラクテッィク発酵」の文字がありますが
シャープでキレのある酸がとても美味しい。
山形独特のこの酸がワインにしっかりした骨格を与えています。
「酸っぱい」どころか、魅力そのものだと思いました。

もうひとつ驚いたのは『山形メルロー』。

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シャルドネ同様、メルロの品種個性がトップノーズからはっきり伝わります。
果実味もしっかりとあり、やはり葡萄のよさがうかがえます。
これはいいワインと思い、値段をみるとなんと1500円台。
思わず「安いですねー!」と言ってしまいました。こちらも購入決定です。

「栽培の契約をお願いするには、仕事だけでなく人間性も大事」と佐藤さんは言います。
ここだと決めた農家さんとは、収穫量が決まる前に契約してしまうそうですが
ときにはそうした全面的な信頼を裏切られ、苦い思いもしたことも。
さまざまな苦労を重ねた結果、現在は高品質の葡萄を確保しています。

ただ現在は農家の高齢化が悩みの種。
どの地方でも共通の問題ですが、自社畑を持たないワイナリーではより深刻といえます。
佐藤さんも解決策を模索中。きっと新しい道を見つけ、高品質のワインを造り続けてくれるはずです。

いろいろな興味深い話を聞かせていただき、思った以上に長時間、滞在してしまいました。
佐藤さん、お付き合いいただきありがとうございました!

タクシーを呼んでいただき、ふたたび天童駅へ。
これで今回の山形の旅は終わりです。

全部で7社のワイナリーを回りましたが、栽培、醸造、ワイン造りの方向性など
お会いした方の数だけ違う要素もあり、とても興味深い体験ができました。
一方でどなたもが共有する思いや課題があったのも確かです。
駆け足でしたが、今まで深く知らなかった山形ワインの魅力に、
少しだけ触れることができたような気がします。

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今回も実りのある旅でした。温泉も最高だったし、またすぐにでも出かけたい気分です。
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by inwine | 2009-07-16 17:18 | ワイナリー訪問
山形ワイナリーめぐり<3> 赤湯のワイナリー その2

佐藤ぶどう酒の次は大浦ぶどう酒へ。
創業は昭和14年。やはり70年という長い歴史を持つ醸造所です。

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ご案内いただいたのは、4代目・大浦宏夫さん。
当時、赤湯の町では金が採掘されており、もともとは金目当てでこの地を訪れた山梨の人が
葡萄の苗木を植えたとされているそうです。

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この時期、仕込みは完全にお休み中。機械もすべて片付けられているため
外から様子をのぞきながら、写真を使って紙芝居風に醸造工程を説明してもらいました。

さらにセラーも拝見。
貯蔵中の樽の周囲には瓶詰めされたワインが整然と積まれています。

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清潔で、とてもいい雰囲気の場所でした。

さて、ワイナリーの入口を入ってすぐにある試飲コーナーへ。
壁にはさまざまな種類のボトルがずらりと並びます。

「これからは少し種類を絞ろうかとも考えています。」と大浦さん。
現在、扱っている葡萄はセイベル9110、デラウェア、ベリーA、甲州、ブラック・クイーン、山葡萄、
カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シャルドネ、リースリング、ナイアガラ、キャンベル・アーリー。
さらにサクランボやラ・フランス、りんごも醸造しつつ、それらの果実のジュースも作っています。
もちろんひとつの品種につき、一種類というわけではありません。
甲州はSC(スキンコンタクト)、SL(シュール・リー)と醸造の違いで別々の銘柄が出ているなど、
造り手としてのこだわりもみえます。

これだけいろいろな種類があれば、仕込み期間は目が回るほど忙しいはず。
スタッフは8人ほどいらっしゃるようですが、決して多いとはいえないでしょう。
見学にお邪魔している間、何人かの方にお会いしましたが、
皆さんにっこり笑って挨拶していただいたのが印象的でした。
大浦さんももちろん、どなたも本当に感じの良い方ばかりです。

最初にいただいたのは白ワインと同じ醸造フローで黒葡萄を醸したブラッシュワイン、『ブラッシュベリー』。

名前の通り、葡萄はベリーAです。鼻を近づけると、この品種独特のイチゴっぽい香りがすぐに立ち上ります。
やさしい甘さが魅力的ですが、山形らしい酸がしっかりとあり、輪郭はぼやけていません。
非常にチャーミングなワインでした。

『バレルエージング・メルロ 2004』はワイナリーのフラッグシップのひとつ。
ほどよい樽の風味、シルキーなタンニン、豊かな果実味がバランスよく溶け合ったスケールの大きなワインです。
やはり葡萄の充実した完熟がはっきりと伝わってきます。

このシリーズは国産ワインコンクールの受賞常連。確かに見事なクオリティです。

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『セパージュワインシリーズ』は『バレルエージングシリーズ』よりはリーズナブルな価格帯ですが、
こちらもかなりの実力派。

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メルロ独特の黒い果実の香りが鼻をくすぐり、厚みのあるボディを持ちながらも
楽しくスイスイと飲めそうなチャーミングさも持ち合わせています。
美味しい! 思わず2本ゲットしました。

ボトルの裏には「1~2時間前に開けてください」の文字が。
確かにその後家で空けたとき、抜栓後すぐはタンニンの主張がやや強めに感じました。
ただし一杯飲む頃には、果実味とうまく溶け合い、バランスよく変身。
うーむ、ボトルに書いてあった通りです。

『エレガンス 赤』はワイナリー販売限定。カベルネ100%ですが、樽はかけていません。
ぶどうの素性を知るにはこういうまっさらなワインが最適です。
試飲させてもらうと…。

おおー、ウマいです。
カベルネにありがちな青さがほとんど感じられません。

このぶどうで作られるワインは樽熟成の行程を経るものがほとんどですが
この『エレガンス』からは、本来の品種の香りというものを改めて感じることができます。
逆に言えば葡萄に自信がなければ、こうしたワインは造れないはず。

このほかにもさまざまなお話を聞かせていただきながら、
たくさん試飲をさせてもらい、やや酔っ払い気味に。
大浦さんの誠実そうな人柄は、ワインのキャラクターそのもの。
どのボトルにも親しみやすい楽しさがありました。

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さて、タクシーを呼んでいただき、最後の目的地を目指します。
大浦さん、お世話になりました。


須藤ぶどう酒工場は赤湯のワイナリーの中ではひとつだけ離れた場所に位置します。
母体は紫金園という観光ぶどう園。

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家族経営で生産量はごくわずか。ネットでは年間3キロリットルという記述もありました。
ボトルにして数千本というところでしょうか。

ご案内していただいたのは、醸造を担当される須藤氏の奥様。
「お父さんが全部ひとりでやってるのよ~」と明るくお話を聞かせてくれました。

こちらでも醸造所やセラーを簡単に見せていただきました。
歴史を感じさせる風格です。

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目に付いたのは、このバスケットプレス。

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今もバッチリ現役。すべてこれで搾っているそうです。
やるなー。まさに手作りの魅力です。

入口の樽の前で、お話を聞きながら試飲。

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リースリングを使った『南陽ワイン』は柔らかな酸と甘みが魅力的。
キリッと冷やして、すっきりと飲める楽しいワインです。

『赤湯ワイン』の葡萄品種は甲州。
シャープなリンゴ酸が爽やかな、山形らしいワインです。
山梨の甲州とはやはり一味違うのが楽しい。

面白かったのは次のワイン。
試飲の際、「品種はなんですか?」とお聞きしたら、
「何か当ててみて」といたずらっぽく言われてしまいました。

甘みの強い味わいに、深く考えずにラブルスカ系の何かかなと思ったのですが、
正解は「マスカット・オブ・アレキサンドリア」。
いわゆるマスカットです。

生食用の中には一房ウン千円もするものもある高級ぶどう。
たしかポレールのやつを飲んだことがあるような気がしますが、
あまりワイン用として使われることはないはずです。

「ホントはワインにするのはもったいないんだけどねー」と須藤さん。
すっきりとした甘さが魅力的。素直に美味しいです。

こちらのワインの特徴はなんといっても、すべて自家栽培の葡萄であること。
広々とした葡萄園には、さまざまな種類が栽培されています。
多くは生食用ですが、ワイン用品種も樹齢が高く、立派な木ばかり。
長い歴史を持つ葡萄園ならではの強みです。

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これはマスカットベリーA。長い時を経て、まさに「木」となった迫力ある姿です。

雨の中、少し歩き回らせてもらいました。

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「最後にお写真を一枚」とお願いすると、ポーズまでとってくれました。
須藤さん、楽しい時間をありがとうございました!

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赤湯ワイナリーめぐりはこれで終了。さあ、温泉入って生ビールだ! アレ?
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by inwine | 2009-07-14 13:07 | ワイナリー訪問
山形ワイナリーめぐり<2> 赤湯のワイナリー その1

山形の旅2日目は、温泉街・赤湯の醸造所へ。最初にお邪魔したのは酒井ワイナリーです。

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創業は1892年(明治25年)。
現存する最古のワイナリーといわれるまるき葡萄酒が1891年の創業ですから、
まさに日本有数の歴史を持つといえます。
今回は伝統を受け継ぐ酒井家の五代目当主、酒井一平さんに案内をしていただきました。

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こちらのワインはどれも濾過を一切していません。
樽貯蔵しない場合は、醸造後すぐに一升瓶に詰めて長期間静置。
滓引きもせず、上澄みを改めて瓶詰めするという手間と時間のかかる丁寧な造りをしています。

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MLFを行うのは樽熟の赤のみ。それもスターターは使わず、自然に始まるのを待つだけだそうです。

「ただ昔ながらのやり方で造っているだけです」と謙遜する一平さんですが、
ワインは真摯な姿勢を反映するように、どれも非常にきれいな仕上がりです。

「バーダップ シャルドネ2008」はキリリとしたリンゴ酸が美味しく、
品種の個性がはっきりと分かるすっぴん美人なワイン。
樽を一切、使っていないこともあり、葡萄の素性の良さがよく分かります。

「バーダップワイン白」もシュール・リーせず、樽を使わず、MLFせずの化粧なしワイン。
素直な美味しさがほっとするような味わいです。

「バーダップ 樽熟成スペシャルブレンド」はカベルネとメルロのブレンド(CS70%、Me30%)。
以前も飲んだことがあるのですが、果実の凝縮感と酸のバランスがすばらしい。
カベルネがよく熟しているのがはっきりと分かります。すごく美味しい!

エチケットも秀逸。これは本当に昔のラベルをそのまま復刻したそうです。

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中央には「山三印」という文字が見えます。
昔の屋号らしいのですが、詳しいことはご家族にも分からないとのこと。
うーむ、逆にリアルな歴史を感じます。

さらに「たまたま空けて飲んでみた」というカベルネ・ソーヴィニヨンの2002年も飲ませてもらいました。
これがびっくりするほど骨格のしっかりしたワイン。
「7年モノ」ですが、果実味も酸もフレッシュそのもの。まだまだ熟成が期待できます。
一平さんのお姉さん、紀子さんによれば「昨日飲んだときはかなり硬かった」とのこと。
このポテンシャルはすごいです。あと数年待ったら至福の味わいになりそう。

訪問した日はあいにくの雨だったのですが、少しだけ一平さんに自社畑を見せていただくことに。

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畑の名は「沢」。中に小さな川が流れているそうです。植えられているのはカベルネ、メルロ、ベリーAなど。
南東向きの傾斜の強い斜面で、いかにも日当たりがよさそう。
遠くから眺める感じでしたが、立地環境は実感できます。

ここに意外な動物がいました。

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3匹の羊たちです。(写真は最近仲間に加わった子羊。)
彼らの役目は除草剤の代わりに雑草を食べまくること。
農家では昔から飼っている人が結構いるそうです。がんばれヒツジくん!

そういえばワイナリーにはこんなポスターも。「我が家」というのがイイ感じです。

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伝統のワイナリーを受け継ぐ、情熱ある若い造り手。
最近、新しい畑にカベルネ、メルロ、リースリング、カベルネ・フランなどを植えたそうです。
今後はベリーA、ブラック・クイーンも増やしていきたいと教えてくれました。
日本ワインの未来、ここでも見つけることができました。

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次は佐藤ぶどう酒へ!

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「金渓」という名前は、かつてこの地で金が採れたことに由来しているそうです。

お相手していただいたのは、社長の佐藤アサ子さん。
いかにもよきお母さんという感じの、明るく楽しい方です。

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2007年から息子さんが醸造をお父さんから引き継ぎ、ワイン造りを続けているそうです。
まずは簡単に醸造設備を拝見。

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その後、早速試飲をお願いしました。

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「金渓プレミアム・ルージュ2006」は柔らかいタンニンとしっかりした酸がうまく組み合わさったワイン。
果実の凝縮感も感じられ、美味しい。

「金渓スペシャルブレンド・ブラン2004」は赤湯産の甲州種を樽熟成50%、瓶熟成50%でブレンド。
ブレンドの効果はしっかりと現れているように思えます。
樽が前面に出すぎず良い感じで効果を上げている一方、
2004年ヴィンテージながらクリスピーな酸がしっかりと生きている。
造り手のセンスの良さが伝わってくるようなワインです。

「メルロー2007」は温度が低かったせいもあり、最初は香りがおとなしめでしたが、
時間がたつにつれ、徐々に開いてきました。
いかにもメルロらしい黒い果実、土の香りがたちのぼります。
味わいはやはり果実味と酸のバランスがとれていて、きれいなワイン。
プレミアムシリーズはよりはややスケールは小ぶりですが
とても1500円台とは思えないクオリティでした。

試飲しながらいろいろなお話をうかがいました。
こちらのワイナリーも自社畑にかなり力を入れているとのこと。
お邪魔した日の午前中も雨の中、摘芯をしてきたばかりとおっしゃっていました。

現在販売中のワインは先代が手がけられたワインが多いのですが、
これからは2人の息子さんがしっかりとワイナリーを支えていくことになるはず。
若い世代のワインはどんな味わいなのでしょうか。楽しみです。
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by inwine | 2009-07-12 11:38 | ワイナリー訪問
山形ワイナリーめぐり<1> 高畠ワイン

すっかり梅雨本番です。でも雨にも負けず山形へ行ってきました。

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まず最初に向かったのは高畠ワイン。
ワイナリー主催のテイスティング会に参加させていただきました。
会場は高畠駅近く、童話作家・浜田広介の記念館です。

40人ほどの参加者を前にまず奥山社長、さらにコメンテーターの橘勝士さん、
川邉久之さんの挨拶で会はスタート。

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製造グループ・マネージャーという肩書きの畑さんの解説を聞きながら、
6種類のワインをテイスティングします。

ちなみに畑さんによれば今年の気候は雪が少なめ、気温は平年より1度ほど高めで
降水量は少なめ、日照時間もやや多め。
葡萄の生育は、今のところとても順調だそうです。

今回のラインナップは下記の通り。

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シャルドネ樽発酵ナイトハーベスト 2006
シャルドネ樽発酵ナイトハーベスト 2007
シャルドネ樽発酵ナイトハーベスト 2008

高畠プレミアムブレンド 2006
高畠プレミアムブレンド 2007
高畠プレミアムブレンド 2008
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2006年のナイトハーベスト以外は未発売のアイテムです。

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深夜に(最近は明け方だそうですが)葡萄を収穫することで知られるプレミアムワイン、
ナイトハーベスト。

3種類のグラスを並べてみると、明らかに2007年だけ色調が薄めです。
樽の影響かと思い、あとで畑さんに聞いてみたところ
「自分では9月の夜温が上がりすぎたせいだと思っています」という答えでした。
(ただし樽熟期間が短いのも確かだとのこと。)

この07、アルコール度数はなんと14.2度。
ボディはかなりしっかりしていて、濃厚な果実香が印象的です。
補糖はまったくしていないとのことで、ちょっと驚きでした。

2006は樽の風味が最もしっかりと感じられました。その奥にやはり厚みのある果実とナッティなフレーバー。
新樽はほとんど使っていないそうですが、オーク香の好きな人にはたまらないはず。
実際、参加者の中にもこのワインをお気に入りに挙げる方が何人もいらっしゃいました。

私自身が一番好みに感じたのは2008。
暑く、雨の少なかった気候を反映してか、熟した白桃のようなこってりと甘い香りが実に魅力的。
そこに一本筋の通った骨格のある酸がバランスよく共存しています。
現在はまだ熟成過程。これはスケールの大きいワインになりそうです。
今からリリースがとても楽しみになりました。

それにしても、やはりどのヴィンテージもさすがのクオリティです。
「夜の収穫」という話題性も楽しい。
これからもずっと日本を代表するシャルドネのひとつであり続けるはずです。

夜間の収穫作業のメリットとしては収穫時に葡萄の温度が下がっている点や
糖度が上がっている点などがよく言われます。
さらにカリフォルニアで長くワイン造りに携わっていた川邉さんからは、
意外な効果についてもお話がありました。

ポイントは夜の「暗さ」。収穫スタッフがムダ話をせずに作業に集中するため、
昼よりも効率が上がると言われているのだそうです。
なんだか笑い話のようですが、カリフォルニアのワイナリーでは
そうした効果を狙って、収穫以外の作業も夜間に行うことがあるとのこと。

プレミアムブレンドの使用品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、プティ・ヴェルド。
比率は年によって違いますが、いずれの年もプティ・ヴェルドが30%前後と、
一般的なボルドーのワインよりもかなり多く使われているのが特徴です。

さらにこのワインが個性的なのは「混醸」である点。
つまり各品種を別々に仕込んでブレンドするのではなく、異なる品種を混ぜて醸造しているわけです。
理由はきわめて実際的なことだそう。けれど結果的に後でブレンドするよりも
各品種が互いの足りない分を補い合うような効果が生まれているというお話でした。

2008年はまだMLFが終わっていない段階での試飲でした。
そのためまだ酸味や渋みが明らかに強め。ただ果実の完熟感やボリュームの強さははっきりと感じられます。
2007年はタンニンが印象的なボディのしっかりしたワイン。

個人的に最も感銘を受けたのは2006年でした。
エッジにややオレンジを帯び始めていて、熟成とまではいきませんが
こなれた風味が生まれつつあり、エレガントでバランスのよい味わいです。
こちらもリリースが楽しみ。

テイスティング終了後は、場所を移して昼食をいただきました。
私の席の前は奥山社長。ここではざっくばらんなトークが聞けて楽しかったです。

その後はシャルドネの畑へ。

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ナイトハーベストに使われる葡萄の畑は何ヶ所かあり、いずれも棚栽培です。
土壌のベースは微細な孔が無数に空く高畠石。

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この石に含まれるゼオライトという物質は保水性と透水性を兼ね備え、
さらにイオン交換を活発に行うことで、優れた土質を作り出しているそうです。

山形のワインは全般的にしっかりした酸が特徴的。
その中でも高畠石のミネラル分は、酸の味わいに独特の個性をもたらしていると畑さんは言います。

ワイナリーに戻って、東京でお世話になった営業の方々にご挨拶。
さらに3年前に植えたというワイナリー前のピノ・ノワールの畑も見せてもらいました。
畑さんが最も好きだという葡萄です。今年、初めて収穫できるかもとのことでした。

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地面の上には高畠石をはじめ、さまざまな石がゴロゴロと。

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これらの石が風化することで、土壌をゆっくりと形成していくわけです。

その後、畑さんに別の畑も案内してもらいました。
訪ねていくと、ちょうど農家の方が作業中。
ご挨拶をして畑の中を見せていただきました。

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立派な幹に、太い葉脈の見事な葉。下草もいい感じで生い茂っています。
土質はさきほどのシャルドネ畑とは少し異なり、やや粘土質です。

お隣の畑で作業していた方から、デラウェアを分けていただきながら
冬場の雪の苦労や獣害についてひと談義。
クマもわりと普通に出没するそうです。コワ…。

赤湯の宿まで車で送っていただく間も、栽培・醸造について
畑さんにいろいろなお話をうかがうことができました。
熱心な研究者肌といった印象の畑さん。
こちらの質問にひとつひとつ丁寧に答えていただき、感激でした。

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本当にお世話になりました。ありがとうございます!
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by inwine | 2009-07-11 11:39 | ワイナリー訪問
九州の旅<おまけ> 九州で出会ったウマいものたち

別府「レストラン・リボン」のとり天丼。渋い雰囲気の老舗定食屋さんです。
衣はふわふわ&サクサク。肉も柔らかくウマかったです。

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南由布「ゆふいん時遊館」のゆふ牛・いちぼ肉のステーキ。旨みたっぷりでした。

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熊本「菅乃屋 銀座通り店」の馬肉のすきやきの肉。

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そして、シメに作ってもらった牛丼ならぬ『馬丼』。

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雨の中、静かに佇んでいた久住ワイナリー前の馬たちが頭をよぎります。
これを食べて「すきやきには絶対に牛肉より馬肉!」と確信しました。


熊本「えびすラーメン」のラーメン。
熊本ワイン・榊さんに連れていっていただいた、地元の人気店。
見た目よりもあっさりで、毎日でも食べられそう。ごちそうさまでした!

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宮崎「もも焼き嵐坊 上野町店」のもも焼き。
やはり榊さんに教えていただいたお店です。豪快な炎があがってます。

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「よく焼き」でお願いしたせいか見た目はかなり黒めですが、味は抜群。
かみ締めると、旨味エキスがじんわりと出てきます。こちらも本場ならではの味わい。
ビールとの相性はヘブン級でした。

ちなみに地元の人はかなり赤いレアで食べるのが一般的だそう。
軟弱な観光客の私は、しっかりと焼いてもらいました。


こちらは同じお店の「せせり南蛮」。
旨みの強いせせり肉(首の周りだそうです)が甘酢ソース&マヨネーズとベストマッチでした。

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宮崎「栄養軒」のラーメン。ここも榊さんオススメのお店。
やはりかなりの人気店らしく、午前中から賑わっていました。
宮崎のラーメンは、九州の中では比較的あっさり系が多いとのこと。
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確かに優しい味でおいしかった。スープもしっかり飲みきりました。
東京だとホープ軒とかに近い感じでしょうか。よくわかんないけど。


延岡「直ちゃん」のチキン南蛮定食。
チキン南蛮の元祖として有名な店ですが、偶然、泊まったホテルの真裏にあることを発見。
ラッキーでした。
味はかなり感動モノ。チキンカツみたいなのかなと思ったけど、次元が違いました。

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延岡のセブンイレブンで見つけたひでじビール2種。
神楽坂の「Naorai」で教えてもらった宮崎の地ビールです。かなり本格派。

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こちらもセブンイレブンで発見。
今回は行けなかった綾ワイナリーのベリーA(ハーフボトル)。
ホテルの部屋で飲みました。うまかったです。やるな、セブンイレブン。

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五ヶ瀬ワイナリー併設のレストラン「メゾン・ド・ヴァン」の
五ヶ瀬町産しいたけのグリル。

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そして五ヶ瀬町産山女の唐揚げ。

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いやー、やっぱり地のものは良いですなー。
椎茸は肉厚で食べ応えバッチリ。山女も白ワインにぴったりでした。


<おまけのおまけ>

都農ワイン・赤尾さんに「おみやげにどうぞ」といただいたズッキーニ。
帰宅した夜、早速食べてみました。オーブンでただ焼いて、塩をほんの少し。

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ウマーイ! 甘みが強烈で、本当にとうもろこしのような味がします。
目をつぶって食べたら、何の野菜か絶対に分からないはず。
えぐみや青臭さは一切ありません。今まで食べてたズッキーニは何だったんだ…。うーむ。
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by inwine | 2009-06-09 11:17 | ワイナリー訪問
九州の旅<6> 五ヶ瀬ワイナリー

九州の旅、最後に訪ねたのは五ヶ瀬ワイナリー。
延岡からバスで一時間半、まず町役場前の小さな停留所に到着です。

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ここで地元のタクシーを呼んで乗車。ワイナリーまでは曲がりくねった細い山道が続きます。
これでは大型観光バスが入るのは難しそう。
運転手さんによれば、現在は急いで道路を拡張中だそうです。
実際、工事の現場もたくさん目にしました。

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これから観光の名所としても、さらに発展していくことでしょう。

揺られること約10分。到着したのはズバリ“山頂”でした。
空と雄大な山々が視界いっぱいに広がります。

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朝は雨模様でしたが、到着した昼ごろから快晴になりました。
運転手さんによれば、昨日は土砂降りだったそうです。
なんだかラッキー過ぎて怖いくらい。頼むよ、飛行機も。ホントに大丈夫だろうね。

ワイナリーはこんなに可愛らしい建物。

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入ると、すぐに試飲・販売コーナーがあります。

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基本的に自分で注いで、全アイテムを試飲できるシステム。
ただしフラッグシップの「シャルドネ樽」は100円の有料試飲です。

早速、試飲をスタートしました。

シャルドネは2005年から2007年の3ヴィンテージ。

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2005年は、鼻を近づけるとしっかりした品種香。ボディの確かさを予感させます。
味わいは爽やかな果実味がまず感じられ、後口に独特の苦味が。

九州のシャルドネの多くはパイナップルなどと評される、強い果実味が特徴的。
でも五ヶ瀬ワイナリーのワインは、それとはやや趣を異にするようです。
果実感よりも品種の個性をはっきり感じるというか。
果実の風味も感じますが、南国風フルーツというよりは柑橘系のイメージです。
そして腰の太い酸がなんとも魅力的でした。

2006年は05年よりもやや穏やかな印象。
05年を一回り小さくしたイメージでした。
ただ、今ひとつ状態が良くなかった気もするので
あまり当てにならないかもしれません。

2007年も、やはり第一印象は品種香。
でもこちらには南国風果実のフレーバーもあります。
やや硫黄的な香りも感じました。還元的だったのかな。

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赤は全般的に樽のニュアンスを強く感じます。
チャーミングな果実味もありますが、印象的だったのはしっかりとした酸。

キャンベルアーリーのロゼは、葡萄の美味しさが
ストレートに引き出されている美味しいワイン。
やはり酸が十分にあるため、だれることなくすっきりと飲めます。

こりゃウマイと思ったのがナイアガラ。
皮・種もしっかり感じ、骨格もある一方、
すっきりとした甘さでひたすら心地よく飲めます。
ポップでキャッチーなメロディーながら
よく聞くとリズムセクションが強力な曲という感じです。

ひと通り試飲を終え、有料の「シャルドネ樽」へ。
ここでスタッフの藤本さんにお話をうかがいました。

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初ビンテージは2005年。
町ぐるみのプロジェクトとして、まず葡萄栽培がスタートしました。

植えられたのは主に町の特産品である、茶畑のあった場所でした。
確かに周囲にはお茶の畑、ホントに多いです。

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樹齢はほとんどが8年ほど。
現在もワイナリーのワインはすべて町産の葡萄のみで造られています。
銘柄は白ワイン中心で、赤は今のところ1種類のみ。
品種はセイベル13053、メルロ、プティ・ヴェルドです。
以前は少しだけツヴァイゲルトレーベもあったそうですが、
今はやめてしまったとのことでした。

ワイナリーの周辺地域は標高660メートルの高地。、
平均気温はなんと13℃で、宮城県と同じくらいだそうです。
冬には雪も結構降り、夏の夜温もかなり下がるとのこと。

そのため生育のカレンダーも全体的に遅めです。
収穫はデラウェアでも9月半ばから、
メルロなどは10月末から11月になることも。
ほかの九州のワイナリーが、本州に比べて
だいぶ早く感じたのとは正反対でした。

この寒さこそが、赤・白ともに感じた厚みのある酸の秘密のようです。
藤本さんによれば、どのアイテムでも補酸は一切ナシ。
一方で糖度は、シャルドネで20度以上にまであがるとのことでした。

なんだか理想的な感じもしますが、問題はやはり台風。
収穫時期が遅いということは、当然、直撃のリスクが大きくなることを意味します。
そのため晩熟の葡萄の栽培は厳しい。

あまり農家さんに無理もいえない状況のため、
醸造側としては、いろいろなジレンマもあるようです。

今後はシャルドネを中心に、少し方向性の違う展開も考えているそう。
単一畑やスパークリングなど、新しいワインの誕生に立ち会えるかもしれません。
またゆくゆくはメルロ単一のワインも出したいとのこと。

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ちなみに「シャルドネ樽」は、発酵・熟成ともに樽を使用。
新樽率は低く、穏やかなオークの風味が
素性のよいシャルドネをいい感じで彩っています。おいしい。

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試飲を終えた後は、ワイナリー併設のレストラン「Maison de Vin」で昼食。
太陽光を取り入れた明るい店内からは、五ヶ瀬の絶景が存分に眺められます。

カフェ風の広々とした空間で、五ヶ瀬産の特産物と
地元産ワインのマリアージュをじっくり楽しむことができました。

その後、徒歩で近くの葡萄畑をのぞきに行ってみることに。
藤本さんにおおまかな場所を聞き、やや怪しい足取りで向かいました。

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コレはブラック・オリンピアというラブルスカ系の交配品種。
ワイナリーの出発点ともなった葡萄で、現在も甘口の白ワインが造られています。

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品種の違いはありますが九州の他のワイナリーと比べると、
やはり生育状況の違いが見てとれます。

ワイナリーに戻り、ガラス越しに醸造設備をぶらぶらと見学。
いまはひっそりと静まりかえっています。

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預かってもらっていた荷物を受け取り、タクシーを呼びました。

向かうのは行きと同じバス停ですが、今度の目的地は熊本空港。
いよいよ九州ともお別れです。アディオス! また来るぜ!
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by inwine | 2009-06-07 10:37 | ワイナリー訪問