「ボー・ペイサージュ リリースパーティー」 夜の部編
ボー・ペイサージュのリリースパーティ、夜の部の会場は麻布十番のイタリア料理店「ラ・ブラーチェ」です。

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この街に来るのはホント久しぶりでした。昔は仕事場が近くて日常的に来ていたのですが、「麻布十番」という名の駅ができた辺りからほとんど縁がありません。それでも街全体の雰囲気は当時とあまり変わっていない気がします。

店へ向かう前に、この3月に閉店してしまった麻布十番温泉の建物へ。今から十数年前、会社に泊まりこんでいた頃は毎日、ここの銭湯「越の湯」に入りに来ていました。
お湯はちょっと黒っぽい源泉。地元の人でいつもにぎわっていたのを思い出します。
歴史ある場所だっただけに、閉店は残念なニュースでした。

少しだけ感慨に浸った後、テクテクと会場へ。
昼の部のカジュアルなスタイルとうって変わって、店内は大人の雰囲気でした。参加者の年齢層も昼よりかなり高め。男性はスーツにネクタイの方が大半です。私のように、さっきまで漫画喫茶で酔い覚ましの昼寝してたヤツは一人もいないはず。この昼夜のギャップはちょっと予想外でした。

さあ、宴の開始です。昼と同様、岡本さんと主催の鹿取みゆきさんの挨拶でスタート!
岡本さんは昼と同じTシャツ&ジーンズで登場。なんだか安心です。(何が?)

「『こういうワインを作ろう』と思ったら、葡萄も環境も造り手もみんなストレスを感じてしまう。僕はできたもの、あるがままをすべて受け入れていこうと思います。」

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ワインはまず赤から。ピノ・ノワールです。

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コレコレ。これが飲みたかった!外見はわずかにガーネットがかったルビー色。ピノ好きなら誰でもたちまち魅惑される美しさです。
ピノ・ノワールは生産本数が少ないため、入手はかなり困難。今回の夜の部では、一番楽しみにしていたワインでした。

岡本さんのコメントは
「単純に可愛いワインです。ピノノワールは難しいワインで、手を出してはいけない分野だと思っていました。僕のは今の時流とは異なる古いスタイルなので、受け入れられないと思っていたけれど、多くの人に気に入っていただけた。なかなか大変ですが、今、少しずつ増やしているところです。」

料理は前菜として「塩トマトのゼリーとブラータチーズ」「鮪とサーモン、有機野菜のテリーヌ 桜のヴィネグレット ボー・ペイサージュの蜂蜜風味」。(写真はバッチリ撮り忘れました)

実は「ボー・ペイサージュの蜂蜜」は昼の部でも登場。岡本さんが飼育しているミツバチのモノです。
「ピノノワールにマグロが合う」という話はよく耳にします。「なるほど、そうかもね」と思う一方、実際に家や寿司屋さんで試してみる気にはなかなかなりませんでした。相性が楽しみです。

注がれたワインに早速、鼻を近づけると…。
紅茶、土、アンズの香りがゆったりと広がります。実にイイ感じ。楽しみにしてた甲斐はありました。
口に含むと、やはりしっかりした酸を感じます。アタックの印象は比較的穏やかですが、タンニンも十分で骨格の力強さが伝わってきました。やがてピノらしい上品な甘さとミネラル感。旨みが口いっぱいに広がる感じです。
「繊細」という言葉がぴったりくる一方、しっかりした芯の強さがあります。やはりこれも長い熟成に耐えうるワインではないかなと感じました。

ところでマグロとの相性は?

おお、合うじゃんか!
ヴィネグレットの酸味と蜂蜜の甘さ、そしてマグロの鉄っぽさ。これはピノの個性とも合致します。
つまり昼の部の馬肉の寿司とよく似た手法といえるかもしれません。偶然なのでしょうが「桜のヴィネグレット」と「桜の葉の塩漬け」も通じ合うところがありそうです。

いつまでも名残惜しい感じですが、次のワインへ。
今度はシャルドネ。昼の部とは違う「LIB2006」です。

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「LIB」と通常のシャルドネの違いは亜硫酸添加の有無だけとのこと。はたして味わいの違いは?

(ちなみに「LIB」とは「Let It Be」の略。「あるがままのことを受け入れよう」という思いがこめられているそうです。ボトルの裏やTシャツの文章は「Imagine」をモチーフにしたものだったし、岡本さん、ビートルズファンなのでしょうか。)

シャルドネについては「2006年は7月に雨が多くて大変な年でした。収穫量も前年よりだいぶ減りましたが、優しいワインができました。」というコメント。

トップノーズから、ハチミツや溶かしバターの香りがムンムン。こ、これは…!
同席した方がムルソーに例えていらっしゃいましたが、実際、ブルゴーニュの上質な白ワインとよく似た要素を感じます。とはいえ樽の要素は控えめで、ワイン自体のボリューム感が凄い。ミルキーなニュアンスと酸が並び立ち、絶妙なバランスを保っています。ウマ~イ! まさにうっとりするような味わいでした。

ただし昼の部のシャルドネとどう違うのかは、私にははっきりとは分かりません。香りに関しては夜の部の方が印象的だったのは確か。でも味わいはかなり似ていた気がします。今回、感じた違いがキュベとしての明確な差かどうかは、何ともいえないところです。

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合わせた料理は「鶉もも肉のグリルとカルチョフィのマリネ」。(カルチョフィとはアーティチョークのことだそうです。)

赤とマグロ、白とウズラという組み合わせは(そしてワインの順番も)なかなかレストランの「たくらみ」を感じさせます。
ふっくらと焼きあがったウズラの肉は濃厚なシャルドネとぴったり。ワインのボリュームを考えると、淡白な魚のポワレより軽いジビエという選択は大アリでしょう。こちらもさすがのマリアージュです。

次は「ル・ヴァン」。例年のセパージュと違い、今年はカベルネ・ソーヴィニヨン100%だそうです。
こちらもトップノーズから全開。香水のような華やかな香りがグラスに溢れています。
口に含むとアタックは柔らかですが、中盤は黒系の果実を連想させる官能的な甘さが続きます。そして長い長い余韻。
ブラインドで出されたら、カベルネ100%と当てるのはかなり難しいのではないでしょうか。文句なしに美味しいです。

料理は「和牛ロース、白菜、エストラット入りペンネ、アッラビアータ」。これも意外な組み合わせでした。
写真はまたも撮り忘れです。

次は「ラ・ボア」。昼と同じカベルネ・フランのワインです。
今回は香りの中に若干、獣っぽいニュアンスを感じました。またミネラル感と中盤の甘みがより印象的だった気がします。他の赤ワインと比べると、アタックは最も強め。明快に美味しさが伝わってきます。

料理は「白身魚と東八カブ、原木椎茸のリゾット」。

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これもまた意表をつくお皿ですが、やはりカブや椎茸の土っぽさとワインとの共通性がテーマなのでしょう。また淡白な味付けは、メイン前の「膝代わり」的な役目もありそうです。

最後に登場したワインは「ラ・モンターニュ」の「LIB」。
土、鉄のニュアンスやキャンディ的な甘い香りとともにボー・ペイサージュ特有のミントっぽい清涼感がはっきりと感じられます。

この清涼感について岡本さんにお聞きしたところ、収穫をできるだけ遅らせていることと関係しているのではないかというお話でした。
味わいは昼のモンターニュより、土っぽさが強いような気がします。よりワイルドというか、いい意味で強さを感じました。このキャラクターがメイン料理「白神産子羊のロースト ヴァルドスターナソース」と抜群の相性! 岡本さんの葡萄の枝でスモークされていて、運ばれてきた途端、まず香りにやられました。そして焼き加減と肉質も最高! 脂身がこれほど美味しいと思った羊は初めてかもしれません。

ワインとの組み合わせも、この日のうちで文句なしにベスト。今までの組み合わせがいささか変化球ぽかったため、最後にど真ん中へ剛速球を決められた気分でした。これぞ王道マリアージュといったところです。(あまりのウマさに、またしても写真は撮り忘れました。)

最後にデザートとエスプレッソもしっかり楽しんで、宴は終了。夜の部でも同席した方と楽しく時間を過ごすことができました。感謝感謝です。

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会のシメにはパンを提供してくれた「ル・ヴァン」の樽井さんのご挨拶もありました。

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「人前で話すのは苦手」と話していた岡本さん。昼の部に比べてさすがに少々、お疲れの様子がうかがえました。長い一日、本当にありがとうございました。

昼の部の方でも書きましたが、(岡本さんのワインに限らず)日本のワインは、年ごとの出来不出来というレベルとは別の次元で、少しずつ成長を続けているのだと思います。その歴史を見守ることができるのは、本当に幸運なことなのかもしれません。

いやー、それにしても贅沢な一日でした。バチが当たるのが怖いです。
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by inwine | 2008-04-18 11:30 | 日本ワインを飲める店
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