九州の旅<3> 久住ワイナリー
これまで天気に恵まれてきましたが、この日は朝からあいにくの雨でした。
まだ梅雨入り前とはいえ、もう6月。ある程度は仕方ありません。
次の目的地、久住ワイナリーへ向かいます。

山岳の多い九州では、はっきりいって電車の便はあまりよくありません。
ガイドブックやHPに書いてある「最寄の駅」まで行ってからタクシー、
なんて風に行こうとすると、お金も時間もとんでもなくかかってしまいます。

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だからメインの交通手段はバス。
これまでの行程でもずっとバスを重宝してきました。
高い山の中腹にある久住ワイナリーも、
当然電車より車のほうがずっと便利な場所にあります。

ガイドブックによれば「豊後竹田駅からバス、もしくはタクシー」とありますが
今回使ってみたのはJRの「あそ・ゆふ高原1号」。
発着駅までのJRの切符を買っていないと乗れないという変則的なバスで、
各目的地に一定時間止まり、ふたたび客を乗車させて次の目的地に向かうという
いわば半観光バスです。

実はこのバスの停車地はワイナリーではなく、花公園という別の観光名所。
地図ではすぐ近くに見えたので、これに便乗してみたわけです。
つまり他のお客さんたちがこの公園で観光している間に、
単独行動でワイナリーを訪問するという作戦。
はたしてどうなるでしょうか。

久住という場所はダイナミックな景観が有名らしいのですが、
バスが進む間に雨は本降りに。もはや土砂降りといってもいい強さになってしまいました。
そのため売り物の絶景は霧に包まれて何も見えず。
案内してくれたガイドさんはひどく残念そうでした。

バスは狭く険しい山道をジェットコースターのように爆走していきます。
由布院から1時間40分ほどで、花公園に到着しました。

降りる際に、ワイナリーの場所を尋ねてみました。
すると、なんとガイドさんも運転手さんも「知らない」との答え。
いやな予感が頭をよぎります。
ガイドさんが花公園の人に聞いてみてくれたのですが、
返ってきたのは「あっちのほうらしい」的な答え。
ヤバイ…。ちょっと甘く見すぎていたようです。

ひとまずお礼を言って、「あっちのほう」へ。
荷物を抱え、ゆるやかな坂道をしばらく歩きました。
しかし案内板も見当たらず、雨は容赦なくたたきつけてきます。
目の前には馬の放牧地が広がり始めました。

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うーん、どうしようか。
悩み始めたころに、小さな矢印を発見!

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少なくとも方向は合っていたようですが、距離はまだ分からず。
けれど、とにかく前進です。

ほどなく大きな看板が見えてきました。到着です!

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どうやら私の作戦もそれほど見当はずれではなかったようです。
胸をなでおろして、売店とかかれた部屋へ。
おお、確かに試飲コーナーがあります。

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さっそく数アイテムの試飲をお願いしました。

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途中から製造主任の中澤さんにお相手していただくことになりました。
本格的にスタートしてからまだ3年。これから未来が待っているワイナリーです。

「これから、と言っているうちにもう3年も経ってしまいました。」と中澤さん。
主任という肩書きですが、現在、醸造はお一人で手がけているとのこと。
「常に何かしら仕事があって、ぜんぜん休めませんね。」
どこのワイナリーも、皆さん大変です。

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発酵を途中で止めた甘口シャルドネはすっきりした甘さ。
「年配の方が多いので、やはり甘口は人気があるんですよ」とのこと。

「ションベルガー」はあまり聞きなれない品種ですが、
「シャスラ×マスカット・ハンブルグ」という交配種。
日本では山梨のスズランワイナリーでもワインを作っているようです。

最初の香りや口当たりで、ドイツ系品種独特の個性をしっかりと感じます。
やや甘口ですが、ボディはかなりしっかり。
「去年はもう少し甘くしたんですが、
 今年の作りなら食中酒としてもいけると思います」とのお話でした。

2種類のメルロは同じ畑の葡萄ですが、ヴィンテージ違いで
キャラクターもはっきりと異なります。
2007は樽もしっかりときいていて、どっしりとした作り。
一方、2008は若々しい果実味が前面に出たワインです。

「葡萄を丸かじりしてるみたいですね」と聞いてみると、
「よく言われます」とニッコリ答えてくれました。

「一番、力を入れているワインは?」と聞いてみたところ
「山葡萄」というちょっと意外な答えが。
正確には山葡萄そのものではなく、
地元で自生していた山葡萄と
メルロやピノ・ノワールを掛け合わせた品種だそうです。

うーん、飲んでみたい…。
でも残念ながら現行ヴィンテージはすでに売り切れ。
まもなく次のヴィンテージをリリースするそうです。
山葡萄らしく酸が強いとのお話でしたが、ズバリ興味あります。

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ワイナリーの前の斜面には広大な垣根の畑が一面に広がります。
広さは5ヘクタール。雨の中でも壮観でした。

この地の標高は850メートル。
冬はひざぐらいまで雪が積もることもあるそうですが、
一番の難敵は収穫時に吹く強風ということでした。
葡萄の実が受けるダメージはかなり深刻だそう。
もちろん台風もあるので、栽培にはかなり苦労されているようです。

ワイナリーを後にして、畑にも少しお邪魔してみました。
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背の低めの樹たちが、厳しい環境に負けじと育っています。

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久住ワイナリー、これからも注目していこうと心に決め、
ぎりぎりでバスに戻ることができました。
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by inwine | 2009-06-03 23:20 | ワイナリー訪問
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